NHK連続テレビ小説『エール』では、歌手・佐藤久志を演じる山崎育三郎(34才)。劇中で歌った『栄冠は君に輝く』も大反響となっている“ミュージカル界の王子”が撮影裏話を明かす。
山崎が演じる佐藤久志といえば、古山裕一(窪田正孝)と村野鉄男(中村蒼)という福島出身の幼なじみの存在が欠かせない。彼らは「福島三羽ガラス」として支え合い、東京で音楽の夢をともに叶えていく。
「ぼくにも三羽ガラスのような気の置けない仲間がいます。通称は『山崎軍団』(笑い)。学生時代からのつきあいで、いつもぼくの家に集まり、お菓子を食べたり、ジュースを飲んだりして、くだらない話をして過ごした。彼らには楽しいときだけではなく、精神的につらいときも支えてもらいました。そこも、福島三羽ガラスと同じかもしれません」(山崎・以下同)
もともと野球少年だった山崎は1998年、12才のときに受けた小椋佳(76才)企画のアルゴミュージカル『フラワー』のオーディションで、3000人の中から主役に大抜擢された。しかし、高校時代に変声期を迎え、オーディションに落ち続ける日々に絶望感を味わった。
「一から歌を勉強しようと、東邦音楽大学附属東邦高校に進学し、留学経験のある兄2人の影響を受け、高校2年生のときに米国ミズーリ州にあるノースカントリー・ハイスクールへ1年間、留学していたのですが、帰国したときには、両親の離婚話が進み、父は仕事で北海道、母は実家のある岡山に、兄は2人とも海外に留学し、弟は野球強豪校に進学して寮生活をしていて、家族がバラバラだったのです。
そんな中、同居していた祖父母の介護をぼくがすることになりました。祖父母は大好きでしたが、やはりひとりで介護をするのは精神的にも肉体的にもつらかった。そんなとき、山崎軍団がうちに来ていろいろと手伝ってくれました。祖父母を病院に連れて行くときも一緒に来てくれて……。彼らがいたから頑張れたんです。本当に掛けがえのない家族のような存在です」
そんな彼らとは、毎年正月には山崎家に集まり、いまでも家族ぐるみのつきあいが続いている。
「それぞれの子供たちも同じくらいの年齢で、大家族のような雰囲気です。この仕事を始めてから知り合った仲間もたくさんいますが、学生時代からのぼくを知っている彼らと一緒だと、素の山崎育三郎に戻れるんです」
ちなみに、「素では、どんなふうになるんですか?」と尋ねると、
「ジャイアンですかね(笑い)。もちろん、乱暴者というわけでなくて、山崎軍団のリーダーとして、みんなを仕切っている感じです」
そう言って茶目っ気たっぷりに笑う姿は、少年のようだった。
◇山崎育三郎 1986年1月18日生まれ。東京都出身。2007年ミュージカル『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢され、注目を浴びる。2015年『下町ロケット』(TBS系)に出演し、テレビドラマの世界にも進出。連続テレビ小説『エール』の佐藤久志役で朝ドラ初出演。ドラマの共演をきっかけに生まれた森山直太朗(44才)作詞作曲のシングル『君に伝えたいこと』が12月2日リリースに。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2020年11月26日号