コロナ禍で苦境が鮮明になっているアパレル業界だが、カジュアル衣料チェーンでは、ユニクロ(ファーストリテイリング)やしまむらが回復しているのに対し、無印良品(良品計画)は衣料品事業が不振で、明暗を分けた形となっている。その理由はどこにあるのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。
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景気は悪いなりに小売店の各売り場は日常を取り戻しつつあります。衣料品の業界においては、コロナ休業の影響もあって全般的には厳しい状況ですが、企業ごとの業績は異なります。コロナ前は好調だった企業が苦戦に転じたり、コロナ前に不調だった企業が好調に転じたりという地殻変動があり、優劣の格差が拡大した部分もあります。
たとえばユニクロはコロナ禍でも在宅ウェアの売り上げやネット通販事業が伸びるなど回復が早く、最近ではデザイナーのジル・サンダー氏とコラボした『+J』の秋冬コレクションが話題となり争奪戦が起きています。改めてユニクロの強さ、支持率の高さには驚くばかりです。
また、しまむらは郊外・地方の単独路面店が多く、都市部ほど外出自粛の影響を受けなかったことから、コロナ禍でも既存店売上高が増収に転じています。やはり外出が減ったことで部屋着が売れたり、マスクなどの衛生用品やインテリア用品の売り上げが伸びたりと業績は回復基調にあります。
その一方で苦しい経営を強いられているのが無印良品です。無印良品の全事業の月次売上速報を見れば、前年並みから微増、微減を維持しているので健闘しているほうだと思いますが、その内訳を見てみると一概に復調しているとはいえません。特に衣料品は厳しい状況にあります。
ほとんど衣料品しかないユニクロとジーユーの好調さや、無印良品よりも衣料品比率が高いしまむらの回復力とは区別して考える必要がありますが、9月度までの無印良品は衣料品の売上高が前年よりも低下した反面、食品が大きく伸びています。日用品は引き続き堅調なので、ほぼ食品の伸びで衣料品の苦戦をカバーした構図になります。