ビジネス

無印良品の衣料品 中高年の顧客から選ばれにくくなった原因

10月より衣料品を値下げした無印良品

10月より衣料品を値下げした無印良品

 コロナ禍で苦境が鮮明になっているアパレル業界だが、カジュアル衣料チェーンでは、ユニクロ(ファーストリテイリング)やしまむらが回復しているのに対し、無印良品(良品計画)は衣料品事業が不振で、明暗を分けた形となっている。その理由はどこにあるのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。

 * * *
 景気は悪いなりに小売店の各売り場は日常を取り戻しつつあります。衣料品の業界においては、コロナ休業の影響もあって全般的には厳しい状況ですが、企業ごとの業績は異なります。コロナ前は好調だった企業が苦戦に転じたり、コロナ前に不調だった企業が好調に転じたりという地殻変動があり、優劣の格差が拡大した部分もあります。

 たとえばユニクロはコロナ禍でも在宅ウェアの売り上げやネット通販事業が伸びるなど回復が早く、最近ではデザイナーのジル・サンダー氏とコラボした『+J』の秋冬コレクションが話題となり争奪戦が起きています。改めてユニクロの強さ、支持率の高さには驚くばかりです。

 また、しまむらは郊外・地方の単独路面店が多く、都市部ほど外出自粛の影響を受けなかったことから、コロナ禍でも既存店売上高が増収に転じています。やはり外出が減ったことで部屋着が売れたり、マスクなどの衛生用品やインテリア用品の売り上げが伸びたりと業績は回復基調にあります。

 その一方で苦しい経営を強いられているのが無印良品です。無印良品の全事業の月次売上速報を見れば、前年並みから微増、微減を維持しているので健闘しているほうだと思いますが、その内訳を見てみると一概に復調しているとはいえません。特に衣料品は厳しい状況にあります。

 ほとんど衣料品しかないユニクロとジーユーの好調さや、無印良品よりも衣料品比率が高いしまむらの回復力とは区別して考える必要がありますが、9月度までの無印良品は衣料品の売上高が前年よりも低下した反面、食品が大きく伸びています。日用品は引き続き堅調なので、ほぼ食品の伸びで衣料品の苦戦をカバーした構図になります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン