健康のバロメーターとして、様々な体の変化を知らせてくれるのが「尿」だ。尿検査だけで分かる病気も多い。順天堂大学医学部附属順天堂医院泌尿器科の磯谷周治医師が解説する。
「尿検査では、腎臓病や膀胱・尿管・尿道の病気のほか、血液の病気や心臓病、肝臓病、膵臓病などが判定できます。さらにホルモンバランスの崩れによる病気、体内にできた腫瘍、ストレスなど精神神経科の病気の一部も尿の成分から分かります」
専門家による検査を受けなくても、自分で尿の状態をチェックして分かることも多い。磯谷医師に自宅でできる尿のチェック項目を挙げてもらった(別掲図参照)。
特に注意深くチェックする必要があるのは尿の「色」だという。
「濃いピンクや赤みが鮮やかな場合、血尿の疑いが強い。膀胱がんのリスクがあります。初期の膀胱がんは痛みを伴わない出血が多く、翌日には尿の色が戻ることがあるので要注意です。ピンク色の尿が一度でも出たら、迷わず受診しましょう」(同前)
普段の尿よりも明らかに濃い黄色や緑がかった色の場合は、肝機能障害の疑いがある。「胆管結石や胆道がんなどの疾患が考えられる」という。白っぽく濁った尿は、細菌感染による尿の濾過機能の低下の可能性がある。