昨年、監理団体の男性幹部が、外国人技能実習生が搾取される構造を説明するために描いた図(時事通信フォト)

昨年、監理団体の男性幹部が、外国人技能実習生が搾取される構造を説明するために描いた図(時事通信フォト)

 外国人技能実習生は通常、それぞれの国の送り出し機関によって選抜された実習生が派遣前教育を受けたのち、実習実施先へ渡航する。あくまで技能を習得するのが目的なので、身につけたい技術を基準に受け入れ希望を決めるのが本来なのだが、実際には賃金や労働環境などを基準に希望を決めていることが多く、また、研修先の紹介段階において、実態と違う好条件を提示されるという日本側の受け入れ先も紛れ込んでいる。身を守るために研修生たちは、先輩や同期生たちと綿密に情報交換をしている。そんな彼らにとって農業はもっとも研修生から人気が低い分野だと言われているが、やはり誰もが希望通りにはいかない。突出した能力を持つ一部の人たちを除けば、単なる労働者として投入される現場しか残っていないのである。さらに、言葉も生活習慣も異なる国で、最大の目的である稼ぐこともままならず、さらにコロナ禍に見舞われた。

 一部の、運が良く能力もあるベトナム人技能実習生たちはコロナ禍でも大いに稼ぐことができたが、大多数の実習生は仕事が減り生活は逼迫していた。彼らは日本で技術を会得し、母国に錦を飾りたいと歯を食いしばってきた。だが、人気が無い農業に従事する実習生たちは、すでに日本での生活に落胆していたところへ、さらに追い討ちをかけられたような格好になってしまった。もう夢や希望などと、綺麗事を言う暇さえないような現実に押し潰されていた。

 こうなると、一部が自暴自棄になって犯罪に走ることも自然な成り行きともいえそうだが、悪いことに、追い詰められたベトナム人を狙うグループが存在する。

「仕事がなくなり食うに困ったベトナム人たちに犯罪をさせて金儲けしようとしている奴らがいる。ベトナム人に携帯電話を契約させて、それを買い取り詐欺に使ったり。実際に金に困ったベトナム人が手を出して、検挙もされている」(群馬県内農業関係者)

 彼らが巧妙なのは、困窮する彼らを救ってあげる人として接触するところだ。だが実際には、困難につけ込んで利用しようとしているだけ。しかし溺れそうになった時、手を差し伸べてくれる人がいれば、その手を必死で掴もうとするように、追い詰められた人間には、そんな握手でも救いの手に見えてしまう。そして、本意ではない犯罪に手を染める外国人技能実習生が続出するのだ。

 東京都内では、まさにこうしてベトナム人を狙い撃ちにした男女が逮捕された。大手紙警視庁担当記者の話。

「ベトナム人の女らを風俗店で働かせたとして、日本人の男女が逮捕されました。女らは技能実習生と見られ、風俗店で働くことは在留資格で認められていません。甘言があったにせよ、仕事がなくなり、収入を得るために風俗店で働かざるを得なかったのでしょう」(大手紙記者)

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