国内

消毒ビジネスへの新規参入続々 トラブルが増加している背景

3月の札幌市、アルコール消毒液で地下鉄車両のつり革などを拭く清掃業者(時事通信フォト)

3月の札幌市、アルコール消毒液で地下鉄車両のつり革などを拭く清掃業者(時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大という混乱に乗じて、春先から「行政の委託を受けている」と業者を名乗り住居の消毒を勧誘する電話が都市部を中心に確認され、注意喚起がされていた。こういった勧誘電話はあからさまに怪しいのだが、もっと巧妙に「消毒ビジネス」に参入しているグループがいる。ライターの森鷹久氏が、自称除菌業者が跋扈し始めている実態についてレポートする。

 * * *
 1日あたりの新型コロナウイルスの新規感染者が、北海道で200名を超え札幌市では不要不急の外出への自粛の呼びかけが行われ、大阪府に続き兵庫県でも新規感染者数が過去最高を記録した。もはや「第3波」の到来とみて間違い無いかのようにも思えるが、この期を待っていましたとばかりに、舌舐めずりをしている連中がいる。

「あんなもん、単なる便利屋が専門業者のふりしてやっとるだけ。除菌剤シューってやって、雑巾でパッパッと拭いて終わり。モグリならまだまし。あいつらは全員素人で、除菌の『じ』の字も知らん奴らばかり。そんな業者ばっかりよ、今は」

 こう憤るのは、北海道内で長年清掃業者を営む望月勲さん(仮名・50代)。コロナの感染者数が増え始めた昨今「除菌業者」の元には数多くの問い合わせが入っていると言うが、そうした業者のうち、少なく無い数が、浅い知識しかない素人が運営していると指摘する。

「コロナ感染者がスタッフから出た、札幌市内の飲食店さんから電話がかかってきてね、除菌業者にきてもらったけど、どうもおかしいと相談されたんです。話を聞いてみるとね、次亜塩素酸水をたっぷり染み込ませた雑巾でとにかく店内全部を拭いて、次亜塩素酸水を噴霧して、それで何十万円も取られたというんです。部屋中ベタベタして営業もできない、ひどいありさまでした」(望月さん)

 新型コロナウイルスの第1波がやってきた時期、消毒用のアルコールがドラッグストアの店頭はもちろん、医療機関でも入手しづらくなった。そのとき、代用になると注目され広まったのが次亜塩素酸水を使う方法だ。だが、その有効性や安全性については科学的根拠が不十分だと言われており、大きな病院では使用されていないという指摘もある。

 厚生労働省は次亜塩素酸水について、限られた条件のもとに限り効果があり、拭いたあとはきれいな布やペーパーで拭き取ること、としている。また噴霧については、世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)の見解を引用しながら、空間噴霧そのものを推奨しないとし、「空間噴霧用の消毒剤」として承認が得られた医薬品・医薬部外品は存在しないとしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン