シニア世代のネットトラブルが増えている。『令和2年消費生活白書』によると2019年の年齢層別にみた消費生活相談状況は、65歳以上の高齢者が全体の33/0%を占めている。内容をみると架空請求を含む「商品一般」が最多であるのは変わらないが、高齢者も「光ファイバー」「デジタルコンテンツ」が増えてきているのが最新の特徴だ。コロナ禍によるネット通販利用の増加により、2020年はさらに高齢者のネットに関連した相談が増えそうだ。ITジャーナリストの高橋暁子さんが、シニア世代のネットトラブルの実態と注意点について解説する。
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「離れて暮らしている父が、知らない間にネット通販で散財していた」と、実家へ帰ってきた50代女性はため息をつく。「久しぶりに実家へ顔を出したら、要らないサプリがたくさんあって、おかしいと思ったら定期購入していた。しかも調べたら相場よりかなり高額だった」。家には商品が山と積まれており、封も開けていない状態となっていた。
色々な商品をネット通販で購入した影響で貯金も減ってしまっていたようで、「今後はもっとまめに確認しないと、父の老後の蓄えがなくなってしまう」と肩を落としていた。
久しぶりに年老いた親に会ったら、生活に必要とは思えない購入したものが家にあふれていた。このような例は珍しいことではない。実家訪問から戻った人が、親の定期購入契約を解約しようと各所に相談したり奔走した、なんて苦労話もよく聞く。
国民生活センターへの契約者当事者が60歳以上である相談件数の推移をみると、架空請求による相談が激増した2018年度は約43万件と過去10年で最も多くなっている。翌2019年度は約37万件に減少したものの、2017年までは30%に届かなかったことを考えると、高齢者による相談は多い水準を保っている。
それらの相談の内容をみると、60歳以上のすべての年代において、健康食品などの定期購入に関する相談が 2019年度は前年の約2倍に増加。架空請求、アダルトサイトを含むデジタルコンテンツ、インターネット接続回線などの情報通信関連のトラブルに関する相談も多く寄せられている。これは、生活の様々な場面でネットを利用することが、高齢者であっても求められるようになっているためでもある。