新型コロナウイルスの感染拡大に伴う自粛生活で、自宅で食事をとる回数が増えたという人も多いだろう。そんなとき、つい簡単に作れてお腹がいっぱいになるメニューばかりになりがちだが、健康を考えるとそれではあまりよくない。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、内臓脂肪をため込まない、ちょっとした食べ方の工夫を解説する。
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コロナ禍のなか、家庭でチャーハンや焼きそば、炊き込みご飯、お好み焼きなどを作る機会が増えたという。簡単に作れて、お腹一杯になるので、便利なメニューだ。
しかし、糖質のとりすぎが気になる。こうした食事が続けば、内臓脂肪がたまってしまう。家族のだんらんが増えたのはいいが、内臓脂肪が増えたのでは笑えない。
ぼくは以前から「ちょい太」がいいと言ってきたが、肥満もタイプと程度によっては問題だ。
脂肪には、主に2つのタイプがある。女性にたまりやすいと言われている皮下脂肪と、男性にたまりやすいと言われている内臓脂肪だ。皮下脂肪は洋ナシ型肥満、内臓脂肪はリンゴ型肥満とも言われている。内臓脂肪が増えると、血液がドロドロになって血圧が上がり、脳梗塞や心筋梗塞などが起きやすくなる。内臓脂肪は、満腹感をもたらしてくれるレプチンというホルモンが分泌されにくくなるために、ついつい食べ過ぎになり、肥満を悪化させていく。
さらに、内臓脂肪があると血糖値が上がりやすい。内臓脂肪がインスリンの働きを阻害すると同時に、長寿ホルモンと言われているアディポネクチンの分泌量を減らすので、血糖値が上がりやすくなり、糖尿病になりやすい。
サイトカインという炎症物質が分泌されるために、血管炎を起こし、動脈硬化を起こしやすくする。悪玉コレステロールが作られ、さらに動脈硬化を進行させる超悪玉コレステロールも作られる。このように内臓脂肪があることによってさまざまな悪循環が起きて、脳梗塞や心臓病、大動脈瘤、腎機能の低下などが起きてくる。質が悪い脂肪である。
もう一つ厄介な脂肪がある。異所性脂肪だ。これは、内臓脂肪がたまっていくのと同時に、本来はないはずのところに脂肪がついてしまうもの。週刊ポストの読者にとって一番気がかりなのは、脂肪肝だろう。
脂肪肝は推定1000万人から2000万人いると言われている。脂肪肝を20年放置すると、1~2割の人が肝硬変に移行し、肝硬変になった人の5%が肝臓がんを発症するといわれている。
以前は、肝臓がんというとウイルス肝炎が主な原因だったが、抗ウイルス薬が作られたために、だいぶ減らすことができた。それに対し、今、肝臓がんの半分近くが脂肪肝から発生していることがわかってきた。
脂肪肝にならないためにも、内臓脂肪を減らすことが重要になる。