2020年4月に総務省が発表したデータによると、中学生以下の子供の数は約1512万人。最新の調査による犬猫の飼育数は推定約1857万5000匹(一般社団法人ペットフード協会が実施した令和元年度 全国犬猫飼育実態調査より)で、子供の数より多いという。わが子のようにペットをかわいがる人が増える中、新たな問題が生まれている。
《悲しすぎて毎日頭が痛い。息が止まる》
《私に命の全てを捧げてくれたフランソワーズ 気が付けば、私も私の全てをフランソワーズに預けていた》
9月末、ブロクで痛切な心情を吐露したのは女優・秋吉久美子(66才)だ。その約1週間前に16年間連れ添った愛犬・トイプードルのフランソワーズを亡くし、いまだ悲しみの癒えない中にいるという。
小柳ルミ子(68才)は’18年8月にロングコートチワワのルルを亡くしており、
「つらいときも悲しいときも、うれしいときも全部、15年間そばで寄り添ってくれたので、もう私ね、本当に生きていられないと思ったぐらい落ち込んで、窓から飛び降りることばかり考えてたの……」
と、その当時のテレビ番組で告白した。
2人に限らず、いま、重度の「ペットロス」に陥る人が増えているという。
獣医師やペットロスカウンセラーとしても活動している日本ペットロス協会代表理事の吉田千史さんが語る。
「ペットを失って一時的に悲しみに暮れるのは正常なこと。しかし、なかには喪失感から立ち直ることができず、重症化してうつ状態になったり、自殺願望を抱いたりする人もいます。特に周囲からの理解がない場合、本人は悲しみを押し殺して発散させることができず、症状が長引く要因になるのです」
家族や親しい友人が亡くなった場合は周囲が気遣うが、ペットの場合はそのつらさが軽視され、「打ち明けても、わかってもらえない」と悲しみを抱え込み、ますますペットロスが深刻になるケースも少なくないという。
東京都在住の斎藤綾子さん(52才・仮名)は、2年前の愛犬の死から、いまだに立ち直れずにいるという。
「13年間、一緒に過ごしてきた愛犬の三四郎が、ある朝突然、リビングの端に横たわり冷たくなっていました。獣医さんによると死因は心臓病で、夜中に発作を起こしてそのまま息を引き取ったのだろうということでした。
夫と離婚した後に飼い始めたので、三四郎は子供もいない私にとっては、夫であり子供のような存在でした。最期にひとりきりで死んだと思うと、後悔ばかりで夜も眠れません。何を食べても味がわからなくなり、1年で10kg以上、体重が減りました。私も早く死んでしまいたいと思い、“あの子のいる天国に行こう”と手首を切ったこともあります」