小柳ルミ子(68)は今年で芸能生活50周年を迎えた。彼女が1999年、47歳にして“最後のヌード”を披露した伝説の写真集が『EL VENENO』だ。小柳が振り返る。
「私は10代、20代、30代、40代とそれぞれ写真集を出してきて、50代を目前に改めて挑戦したい気持ちがありました。47歳でも鍛えている自分のカラダを、私自身も見たかった。男性だけでなく、同性からもセクシーだけど嫌らしくないと言っていただけました」
撮影期間は1週間、小柳が希望したスペイン・マドリードで撮り下ろした。タイトルは「毒」を意味するスペイン語から名付けた。
「私は常々『華』と『毒』の両方を兼ね備えたアーティストでいたいと思ってきました。人を喜ばせる『華』の部分だけじゃなく、『毒』をもって突き刺す、つまり、人を痺れさせるという両面を持っていたい。そんな思いを込めました」
1970年にデビュー後、歌手として『わたしの城下町』『瀬戸の花嫁』などのヒット曲を飛ばした小柳には「華」のイメージばかりが定着していた。「このまま日本的な情緒を歌う歌手としてだけで終わりたくない」と思っていた時、舞い込んだのが映画『誘拐報道』の出演だった。これが転機となる。タッグを組んだ伊藤俊也・監督との2作目『白蛇抄』で、小柳は初の濡れ場シーンに挑戦。それまでの清純派歌手のイメージを一変させた。
「伊藤監督から出演を依頼されて原作小説を読んだ時から、エロティックなシーンは必須だと分かっていたし、覚悟していました。だから抵抗感はなかったし、とにかく中途半端だけは嫌だった。アーティストは“一色”だけでは絶対に飽きられてしまいます。この作品で私の違った一面を見てもらえました」