小栗旬(37才)と星野源(39才)が初共演にしてダブル主演を果たした映画『罪の声』が10月30日から公開中だ。初日から3日間累計の観客動員数は20万人、興行収入は2億5800万円を記録し、興収ランキング初登場第2位と好スタートを切った本作。公開から約1か月経った今も4位と上位をキープしており、SNSや口コミでは「主演2人の不思議なバディ感が魅力的」、「主演以外の俳優陣にも目が離せない」といった声が続々と上がっている。映画や演劇などに詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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今年ももう終わろうというなか、「2020年のNo.1映画確定」との声が多く聞かれる映画『罪の声』。作品の顔となる主演の2人に注目が集まりがちだが、実際に鑑賞した人々からは、脚本や演出、脇を固めるキャスト陣など、映画全体に対する賛辞の言葉が散見される。
本作は、塩田武士(41才)の同名小説『罪の声』(講談社)が原作。日本中を恐怖の渦に巻き込み、未解決のまま時効となった実際の劇場型犯罪をモチーフに、事件から35年を経て真相に辿り着く2人の男の姿が描かれている。
映画化に挑んだのは、ドラマ『空飛ぶ広報室』(TBS系)や『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)などのヒット作でタッグを組んだ監督・土井裕泰(56才)と脚本化・野木亜紀子(46才)。この監督と脚本家の組み合わせには、いやが上にも期待してしまうというもの。両者ともにメインフィールドがテレビドラマということもあってか、複雑な物語でもスムーズにのめり込める。登場人物が多く膨大な情報量にもかかわらず過不足ないシナリオで、編集や音楽などの効果で的確に見せ場を作る演出は、観客にとって見やすさや伝わりやすさに繋がったのではないかと思う。
脇を固めるキャスト陣も素晴らしい。まだ若手とされる俳優から中堅どころ、映画界のレジェンドたちまで、各世代の実力者が顔を揃え、重厚なミステリーを織りなしている。特に、事件の被害者として壮絶な人生を送ってきた青年を演じる宇野祥平(42才)や、事件の犯人グループの一人を演じる水澤紳吾(44才)の芝居は、彼らがこれまで見せてきた他の作品とのギャップに多くの人が驚かされたに違いない。出番の多寡に関係なく、一人ひとりが重要な働きをしているのが本作なのである。
こうした強力な布陣を率いているのが小栗と星野だ。新聞記者・阿久津(小栗)は、すでに時効となっている未解決事件を追う特別企画班に選ばれる。一方、京都でテーラーを営む曽根(星野)は幸せな家庭を築いていたが、ある日父の遺品の中から35年前の事件で使われた脅迫テープを発見。その声が幼い頃の自分の声だと気付き、日常が揺らぎ始める。阿久津と曽根、接点のないはずの2人は、それぞれの立場で事件を追い、次第に“バディ”のような不思議な関係へと変化していく。