良い気分で新年を迎えるために、年内にやっておきたい大掃除。面倒だと感じる人も多いだろうが、高齢者にとってはかなりの重労働だ。自身も実母と同居して見守り、高齢者の家事について一家言を持つ家事研究家・高橋ゆきさんによれば、
「大掃除は家中をくまなく一掃するイメージですが、高齢者の家は全部やらなくていい。むしろ老親が主体で“掃除したいところだけ”という考え方でよい」
とのことで、“家中を掃除しなくていい”と思えば、一気に気は楽になる。これからの老親宅の大掃除ポイントを聞いた。
「生活のリズムにかかわるテリトリーは、基本的に本人に任せましょう。ただ散らかっているところは、大小適当な形の空き箱を使って整理するのがおすすめです。たとえばリモコンをまとめた箱、定時にのむ処方薬や体温計、血圧計などの箱、大量のポケットティッシュもひとまとめに。こうすることで必要な物が際立って見えるので、むやみにため込むのを抑えられることもあります」
キッチンに出しっぱなしにしがちな調理道具や調味料なども箱にまとめるだけで、散らからなくなる。あとは拭き掃除。どんなシーンにも万能な“軍手ぞうきん”(※ゴム手袋をはめた上から軍手をはめる。水や洗剤をつけても使える)や“清め拭きぞうきん”(ぞうきんの下4分の1だけをぬらし、ぬれた方から巻いていく。薄手のタオルや手ぬぐいでもOK)がおすすめだ。
「自分のテリトリーの中の物、いつも座っているイスや手すり、仏具などを“掃除”というよりお礼の気持ちを込めて、愛でるように拭いて歩く。拭き掃除は手足、指先までよく動かすので絶好のリハビリです。来年からは日常のアクティビティーとして習慣にするといいですよ」