韓国の人気アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」のシングル『Dynamite』が11月24日(現地時間)、音楽界の最高栄誉とされる「グラミー賞」にノミネートされ大きな話題になっている。アジア出身の歌手がノミネートされたのは初めてで、SNSでは世界中のBTSファン「ARMY」の歓喜の声で溢れた。BTSは、10月にも米ビルボードのシングルチャートで1位を獲得したばかり。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんは、「BTSの大ヒットは、ARMYたちの尋常ではない努力の賜物」と話す。
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コロナ禍でエンタメ業界全体が落ち込むなか、この1年で異例の急成長を遂げたBTS。公式YouTubeに頻繁に動画をアップしたり、大々的なオンラインコンサートを実施するなど、自宅にいながらBTSを楽しめるよう工夫した運営側の活動もあるが、BTS人気をここまで押し上げたのは、紛れもなくARMYたちの働きによるところが大きい。
その働きは、例えばBTSがデビューして間もない頃は、話題になるよう新曲を発表したら、24時間眠らずに新曲動画を繰り返し再生する(再生回数を稼ぐため)、BTSの歌詞をARMYが世界各国の言葉に翻訳し解説を付けてSNSで紹介する、BTSの活動でメンバーのためにならないことや、社会的に納得のいかないことなどがあれば改めるよう所属事務所に直談判したり抗議活動をする、「BTSをもっと知ってほしい」という思いから地下鉄や電車にARMYたち自ら広告を出す、BTSの活動に関する論文を書く…など挙げ始めたらキリがない。
プロモーター的な役割を担うこともある。10月に開催されたオンラインコンサート『BTS MAP OF THE SOUL ON:E』のチケット販売の際は、チケットの種類が多いうえ、運営側の説明が分かりにくかったことから大混乱が生じたが、ARMYの1人が「どのデバイスからどんな映像をどのように見たいか」でチケットを選択できるよう一目でわかる表を作りSNSで公開、運営側がその表を公式サイトなどに転載して案内し直したことがあった。