初めての“コロナ禍の冬”がやって来る。感染予防には換気は必須だが、正しく効率の良い換気方法はあるのか? 国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはいう。
「まず家の中には危ない場所があります。エアコンやファンヒーターの暖かい風の通り道で、小さく軽くなった粒子はその風に乗って浮遊している可能性があります。風を受けるところに長時間留まると、粒子を直接浴びることになり感染リスクが高まります。夏場も冷房の風には注意が必要でしたが、寒く乾燥している冬はさらに注意が必要です」
確実な対策の1つが、乾燥を防ぐ「加湿」だ。インフルエンザウイルスは、室温22℃、湿度50~60%で生存率が下がることがわかっている。これは新型コロナでも同様のことがいえるとされるが、逆に室温や湿度が下がることでウイルスの生存率は上がっていく。
エアコンは室温を簡単に上げることができるが、一方で乾燥を招くという欠点もある。そこで登場するのが、加湿器だ。エアコンと同時に使う家庭も多いが、置き場所を間違えれば効果は薄れてしまう。
「エアコンの風の通り道に加湿器を置くと、水分が部屋の隅々まで行き渡りやすくなります。ただし、送風式の加湿器の場合はエアコンの風にぶつかると効率が悪くなる。エアコンとは反対側の壁際に置くことで、エアコンの風に乗せることができます。また換気の際は、外気が入り込む窓際に置くのも効果的です。ただし結露が起きやすくなるので、注意も必要です」(前出・一石さん)
加湿器にはいくつか注意点がある。掃除を怠ったり、湿度が70%を超えるほど加湿しすぎるとカビや細菌が増殖し、新型コロナ以外の健康被害を招く恐れがある。水に熱を加え、沸騰した蒸気で加湿する「スチーム式」なら細菌の増殖を抑えやすい。
「加湿器がなかったり、足りないと感じたときは、濡れた洗濯物の部屋干しも有効です。キッチンでお湯を沸かしたり、観葉植物に霧吹きで水を与えるなどの行為も、湿度を上げる効果が期待できます。また湯船に水を張るのも1つの手です」(前出・一石さん)