確かに、近年のアナウンサーには、局アナとしてタレントにも劣らない活躍で人気を得ると、あっという間に退社して芸能事務所に所属、別の生き方を模索する人が少なくない。アナウンサーは今も「憧れの仕事」かもしれないが、ゴールではない。その先にすすむためのステップと考える人が目立ってきた。それに伴ってミスコンの位置づけも変わってきている、ということなのかもしれない。
「ミスコンって、単なる手段じゃないですか? ゴールに近づくための手段。いまは、昔みたいに大学を卒業して就職した先がゴールじゃないから、ミスコンもそこまで魅力がない。というかミスコンありすぎてよくわからないし、とりあえず肩書きが欲しいからって、え? あの子が? みたいな子がミスコンで優勝したりしてる」(未来さん)
ミスコンが次への手段、というのは昔もそうだろう。ただし、もっとゴールへ近づく直接的な手段だった。それが変化したのは、大学ミスコンのイメージが著しく低下したことと無関係ではないだろう。
前述したK大学でのトラブルだけでなく、近年の大学ミスコン、ミスターコンテストでは、大きく報じられないだけで毎年何かしらのトラブルが起きている。その大学の難易度や校風、立地など関係無く問題が起き、内容もセクハラやパワハラ、賄賂や出来レースなどなど……枚挙にいとまがないというレベルだ。その裏には、未来さんが指摘する「ミスコンがありすぎる」事情が関係しているという。
「各大学で伝統あるミスコン、ミスターコンテスト以外に、様々なコンテストが開催されるようになりました。それこそ、学年ごとのミスコン、学部ごとのミスコン、本家ミスコンに選ばれなかった人のミスコンとかまで(笑)」
こう説明するのは、大手人材会社勤務の吉田豊彦さん(30代・仮名)。大学時代はミスコン、ミスターコンテストの運営陣として活動。自身もエントリーされたという経験を持つが、ちょうどその頃から「おかしくなっていった」と証言する。
「まず、ヤラセが横行していましたね。ミスコンエントリー者の8割が、運営陣と恋愛関係にある、なんて大学もありました。某大学でミスコンに選ばれた読者モデルの女の子がいましたが、女の子がイメージモデルを務めるブランドから、運営側に金が払われていました」(吉田さん)
その頃から目立っていた「ミスコン」の商業化は、今では行き過ぎではないかと指摘する。