美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は、JPタワー学術文化総合ミュージアム・インターメディアテクを訪れ、その収蔵から展示について語った。
壇蜜:東京駅の前にすごいミュージアムがあるとは聞いていましたが、インターメディアテクは想像以上に独創的な空間です。迫力ある骨格標本や幻の絶滅巨鳥の卵殻、剥製などが展示され、その傍らにミイラや毒キノコ、蓄音機に古銭、外科道具。
2つのフロアに多彩な学術文化財がランダムに並べられ、目で遊ぶ空間になっています。個人的には、タカアシガニの標本と東大安田講堂の大時計の針が隣り合わせていたのが衝撃的な光景でした。二枚貝の標本かと思ったら木製の針で意表を突かれました!
山下:フロアごとにテーマを設けたり、標本を年代順や種類別に系統立てることなく、1点1点の詳説も省いている。展示物そのものが持つ力を提示して見る者の感性を刺激する、国内でもずば抜けて文化的な展示をしていると思います。
壇蜜:好奇心をくすぐられて驚きや発見が生まれ、想像もつかない世界へ誘われる感覚があります。ミュージアムとしては標本がとにかく豊富なのも魅力です。
山下:600万点以上蓄積があるそうで、他にはない体験に満ちていますね。
壇蜜:インターメディアテクの名称もユニークです。
山下:名称の由来は「間メディア実験館」。多様な表現メディアが対話を交わして新しい文化を生み出すという想いが込められているそうです。過去にはこの空間で生演奏や宝塚の歴代トップスターが集う華やかなライブなども行なわれています。
【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団長。
壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『結婚してみることにした。壇蜜ダイアリー2』(文藝春秋刊)。
●JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
【開館時間】11時~18時(金・土は20時まで)
【休館日】月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、その他館が定める日
【入館料】無料
【住所】東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3F
撮影/太田真三 取材・文/渡部美也
※週刊ポスト2020年12月11日号