コロナ禍にあって、私たち日本人の同調圧力や“世間”との付き合い方がクローズアップされてきました。第3波が猛威を振るう今、一人で外を歩いているときでさえ、マスクを外すことに躊躇してしまいます。
「実はダイエットも、それと同じ心理なのかもしれません」と言うのは、SNSで10万人超のフォロワーを持つフィットネストレーナーのSunnyさん。はてコロナとダイエットには、「コロナ太り」のほかに、どんな共通点があるのでしょうか。
ダイエット志向を生む「過干渉と監視」
「私たちの多くが、どうしてこんなにまで「痩せたい」と思うのか。それは太った人より痩せた人のほうが美しく、優れていて、スリムであることが豊かさの象徴やステータスになると現代社会で流布されているイメージに捕らわれているからなんです。その背景には島国日本ならではの国民性があるのではないでしょうか」(Sunnyさん)
日本人はとかく“普通”“標準”“平均”を大事にします。そうして周囲に同調することで、社会に溶け込みやすくし、安寧を保ってきました。しかし、そんな国民性が人の目を気にしやすい気質、他人への過干渉を生んでしまったとSunnyさんは続けます。
「実際、日本は先進国の中で最も肥満率が少ないのに、世界一肥満に厳しい国なんですよ。十分スリムなのにもかかわらず、体型コンプレックスを持つ人がこれほどまでに多いのも、他人への過干渉や監視社会から来ているのだと思います」(Sunnyさん)
コンプレックスが強すぎて自尊心が底辺に
Sunnyさんはもう一つ、日本人の「他人や世間に完璧を求める潔癖社会」の負の側面を指摘します。真面目さ、丁寧さ、民度の高さなどが世界から評価される半面、その完璧主義がゆえに他人の過ちを許さず、不祥事が起これば袋叩きにする。他人の容姿や体型に干渉したりジャッジしたりするのも、根っこは同じです。
本来は個人の自由であるはずの体型に対し、他人から「太り過ぎ」ととやかく言われる社会。そこで育った私たちは、とかく自分の容姿を変えることで、他人から認められ、好かれたいと思いがちです。痩せていると評価され、太っていると評価が下がる。そうした“世間”の目を気にするあまり、太るだけで自己評価を下げてしまう人が多いのだとSunnyさんは言います。そんなSunnyさん自身も、かつては自尊心が底辺になるほど自分の体型にコンプレックスを抱いていました。
「私が思春期のころよく見ていた雑誌に、モデルさんの体重から体型まで細かに採寸した数字が載っていたんです。当時も自分の数字と、美しいとされる彼女たちの数字を比べては、悲しくなっていました。その後ますます太って、どん底まで落ちて、やっと気が付いたんです。遺伝子や体質が全く異なる人間の体重や体脂肪が同じ数値になったら、同じ人間になれるのか。その数字に到達したからといって、どれだけ痩せたって、他人になることはできません。私は私でしかないんです。なのにモデルさんと同じ体重を目指して、数字の奴隷になってはいけない、と」(Sunnyさん)