「嗅覚が戻るのは時間がかかったという印象。100%治っているのか、もしかしたら治っていない部分があるのかなって思ったり、不安に思うことは多い」
『めざましテレビ』(フジテレビ系、11月26日放送)で新型コロナウイルスの後遺症について不安を吐露したのは、8月に感染が確認されたHey! Say! JUMPの伊野尾慧(30才)だ。
新型コロナは肺炎など呼吸器系の疾患を招き、感染者の8割が軽症もしくは無症状で、2割が重症化するとされる。感染が拡大した当初は、重症者が肺炎などで命を落とさないための施策が優先された。
だが、第1波から半年以上経って迎えた第3波では、重症化の予防とともに、最大限の注意を払うべきは「後遺症」であるという認識が、医療関係者の間で広がり始めている。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが指摘する。
「現在、世界中で新型コロナによる後遺症の研究が進んでいます。その論文数は20万件以上で、100種類以上の全身症状が報告されています。どんな人でも後遺症が起こる可能性があり、最近は無症状の若い人の後遺症報告が増えています。国内では第3波による感染拡大で医療が逼迫するとともに、深刻な後遺症が増加することが懸念されます」
新型コロナは死を免れたら終わりではない。日本人だけが知らない本当の恐怖とは何だろうか。
バスローブ姿の女性が長い髪をブラシでとかすと、そこには大量の「抜け毛」が──4月に感染したアメリカの女優アリッサ・ミラノがSNSに投稿した動画は世界に衝撃を与えた。頭髪がごっそり抜けるのは抗がん剤や放射線治療の副作用というイメージがあるが、脱毛は新型コロナの後遺症として世界中から指摘される。
日本の国立国際医療研究センターが退院後のコロナ患者に行った調査でも、4人に1人に抜け毛の症状がみられた。持続時間は平均76日で、発症後30日頃から現れて、長い場合は発症後120日くらいまで消えなかった。
「新型コロナの後遺症としての抜け毛は本当に多いです」
そう指摘するのは、現在も100人ほどの新型コロナ後遺症患者の治療を続ける、新中野耳鼻咽喉科クリニック院長の陣内賢さんだ。