臓器移植に関する正規な手続きを経ずに、交通事故の負傷者ら11人から肝臓や腎臓を違法に摘出したとして、中国安徽省の病院勤務の医師ら6人が懲役10月~2年4月の実刑判決を受けていたことが明らかになった。複数の中国メディアが報じている。
中国では、2015年にドナー(臓器提供者)の9割を占めていた死刑囚からの臓器移植を停止したことでドナー不足が深刻化。現在、推定で30万人もの人々がドナーを待っている状態だという。
今回の事件では、臓器移植を担当する医師らが、ドナー不足に付け込んで、患者から多額の費用を要求した上で、組織的に臓器摘出に関与していたとのこと。違法な臓器移植の深い闇の一端が明らかになった。中国で医師の臓器売買グループの摘発が公表されたのは初めて。
事件の発端は、事故で死去した母親が臓器摘出を受けたことに関して疑問を持った男性による通報。警察の取り調べを受けた同省懐遠県人民病院の集中治療室(ICU)の主任医師ら医師4人を含む医療関係者6人が犯行を自供した。
主任医師らは2017~2018年に交通事故などの負傷者ら11人の家族に対して、「臓器移植を行えば、国の補助金が給付される。また、臓器を移植される患者からも多額の礼金をもらうことができる」などをもちかけて臓器移植に応じるよう説得した。
中国では2013年以降、ドナーと移植先のマッチングは正規の統一システムのもとで行われ、関係機関への報告義務も必要だ。さらに、臓器摘出手術には赤十字社スタッフも立ち会わなければならないが、今回の事件は一連の手続きがすべて無視されていた。