菅義偉首相は「Go To キャンペーンのせいじゃない」と言い張り、麻生太郎副総理は「コロナでカネに困っている方は少ない」と嘯き、小池百合子・東京都知事は「ロックダウンは私の言葉じゃない」と言い出した。
コロナ危機が深まる中で政治家の発言の変節が際立つ。コロコロと変わる発言によって、感染が拡大してしまう可能性もさえあるのだ。
「そんなに感染しない」
総理大臣が崖の手前でブレーキを踏むのを躊躇すれば、国民は崖から転落してしまう。それなのに菅首相は「Go To キャンペーンは安全」と言い続けて感染を広げた。
菅首相にとってGo To は官房長官時代からの看板政策だ。
そもそも閣議決定では、「感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後」に支援策を講じるとなっていたが、菅氏は感染第2波が拡大しつつあった今年7月、「この問題(感染拡大)は圧倒的に東京問題と言っても過言ではない」(7月11日の北海道講演)と発言し、東京発着を除外してGo To トラベルを見切り発車させた。
その判断について『文藝春秋』9月号のインタビューでこう語っている。
「『三密』を避けるなど対策をきっちり取っていれば、感染のリスクは非常に低いんです」
その後も強気一辺倒でGo To を推進。自民党総裁選候補者討論会(9月12日)では、「この1か月半の間に780万人の方がキャンペーンを利用しまして、コロナにかかった方が7人だった。しっかり守るべきことを守ればコロナにはそんなに感染しないということがわかった」と、“どうだ”とばかりに胸を張って見せた。
ところが、11月に入って感染者数は過去最高を更新、キャンペーン見直しを求める声が一段と強まった。それでも、菅首相はブレーキを踏もうとはしなかった。
「Go To キャンペーンの見直しについては、専門家も『現時点においてそのような状況にはない』という認識を示している」(11月13日ぶら下がり)
専門家の“お墨付き”を楯に使ったのだ。