東京地検特捜部の捜査を受けている安倍晋三・前首相の「桜を見る会前夜祭パーティー」問題は、前夜祭の会費と実費の差額約900万円を安倍事務所が補填していた疑いが浮上し、「事務所側が(費用の一部を)補填したという事実も全くない」という安倍前首相の説明が“虚偽答弁”だった可能性が強まっている。安倍氏サイドは本当に知らなかったのか、“書かなければ収支はバレない”とタカをくくっていたのか。
しかし、特捜部が動かなければウヤムヤというのであれば、「政治とカネの国民監視」という政治資金規正法の精神は死文化してしまう。
政治活動のカネの流れを不透明なままにしておく体質は後継の菅義偉首相にも受け継がれていた。
本誌・週刊ポスト前号(12月11日号)では、菅氏が官房長官時代の2014年4月、横浜ロイヤルパークホテルの大宴会場「鳳翔」で約2500人の後援者を集めた会費1500円のパーティー「春の集い」を開き、政治資金収支報告書に記載していなかった問題を報じた。
報道をきっかけに〈菅首相の開催パーティー収支が「不記載」週刊誌報道〉(朝日新聞)、〈菅首相にも疑惑 「桜」と酷似〉(しんぶん赤旗)と他メディアが後追いして大反響を呼んでいる。
この菅氏の「春の集い」について週刊ポストは新たな証言を得た。
ロイヤルパークホテルは前号の本誌取材に「宴会料金はケースバイケース」と答えていたが、改めて大宴会場「鳳翔」の料金を確認すると、「時間貸しはしておらず、1日貸しで鳳翔の室料単価は700万円。そこに飲食代などその他の費用が加算される形になる」(セールス部)と説明した。
「春の集い」の会費は1500円。2500人参加なら収入は375万円で、会費だけでは飲食代どころか室料もまかなえない赤字パーティーだった可能性が一層強まる証言だ。
その差額は一体、誰が補填したのだろうか。
※週刊ポスト2020年12月18日号