国際情報

大前研一氏提言 バイデン氏は就任初日に大統領選改革すべき

大前研一氏が提言する「大統領選の改革」の内容とは(イラスト/井川泰年)

大前研一氏が提言する「大統領選改革」の内容とは(イラスト/井川泰年)

 4年に一度のアメリカ大統領選挙のたびに、“分かりづらい”と感じる人も多いのではないだろうか。全体の得票数が多くても勝利するとは限らないなど、独特の仕組みとなっているのだ。2020年の米大統領選挙についても、ジョー・バイデン氏が新大統領に決まったと報じられているものの、厳密にはすべての選挙結果が出たわけではない。そんなアメリカ大統領選挙について、経営コンサルタントの大前研一氏が、改革を提言する。

 * * *
 アメリカで大統領選挙の勝者を州単位の選挙人獲得数ではなく、全米の得票総数で決める「全国一般投票州際協定」加入の動きが広がっている。

 時事通信(11月15日付)によると、同協定に加入した州は、大統領選で州内の集計結果にかかわらず、全米の得票総数トップの候補がその州に割り当てられた選挙人を獲得する。これまでに全米50州のうち15州と首都ワシントンが賛同し、加入州の選挙人の合計は196人に達しているが、協定が発効するのは加盟州の選挙人の合計が選挙人(538人)の過半数にあたる270人に達してからだという。さらに加入州が増えて協定が発効すれば、全米の得票総数でトップの候補者が自動的に選挙人の過半数を得ることになり、選挙人制度は実質的な意味を失うのだ。

 この選挙制度改革に私は大賛成だ。もともと私は、アメリカ大統領選は明らかに時代遅れで欠陥がある選挙人制度を廃止して得票総数が多い候補者を勝ちとするシンプルな選挙制度に変えるべきだ、と主張してきた。それがようやく現実味を帯びてきたわけである。

 ならば、この動きをいっそう加速して協定発効を後押しするために、ジョー・バイデン新大統領は来年1月20日の就任演説で「わが国の大統領選のシステムには極めて重大な欠陥がある。これを直さなければ民主主義のリーダーとは言えない」と訴え、選挙人獲得数から得票総数への選挙制度改革を最優先課題として打ち出すべきだと思う。

 なぜなら、毎回、大統領選の直後は改革機運が芽生えるものの、選挙人制度は憲法に規定されていて修正が非常に難しいため、しばらくすると関心が薄れてしまうからだ。

 しかし、就任時の年齢が78歳で歴代最高齢のバイデン新大統領は再選の可能性が低いだろうし、ドナルド・トランプ大統領に勝利したことで「彼の役目は終わった」とも言われているから、再選出馬しないことを担保に「アメリカが世界の物笑いになっている大統領選の選挙制度を私が改革する」と宣言すれば、国民も連邦議会も納得するのではないか。逆に言うと、この機を逃したら選挙制度改革は当分できないと思う。

関連記事

トピックス

長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
3月末でNHKを退社し、フリーとなった中川安奈アナ(インスタグラムより)
《“元カレ写真並べる”が注目》元NHK中川安奈アナ、“送別会なし”に「NHK冷たい」の声も それでもNHKの判断が「賢明」と言えるテレビ業界のリスク事情
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
第一子誕生の大谷翔平、広告出演オファー殺到でスポンサー収入200億円突破も ベビー関連・ファミリー関連企業から熱視線、争奪戦早くも開始か 
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
金メダル級の演技(C)NHK連続テレビ小説「あんぱん」NHK総合 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』で“韋駄天おのぶ”を演じる今田美桜の俊足秘話 「元陸上部で中学校の運動会ではリレーの選手に」、ヒロイン選考オーディションでは「走りのテスト」も
週刊ポスト
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
(撮影/田中麻以)
【高市早苗氏独占インタビュー】今だから明かせる自民党総裁選挙の裏側「ある派閥では決選投票で『男に入れろ』という指令が出ていたと聞いた」
週刊ポスト
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン