今、中国と韓国が“食”を巡って激しい火花を散らしている。11月28日、中国の新聞『環球時報』が、「中国のキムチ製造方法が11月24日、国際標準化機構(ISO)の承認を受けて、『国際標準』になった」と報道。併せて、2017年の時点で韓国はキムチの35%を輸入に頼っており、その99%が「中国産」。「もはや『キムチ宗主国』の名は有名無実化している」と伝えた。
これに韓国側は怒り心頭だ。11月30日、韓国政府の農林水産食品部が声明を出し、「韓国のキムチは既に2001年に国際食品規格委員会(CODEX)の国際標準として登録されている」と反論。ネット上にも、
〈キムチが免疫力を高めるという話が国際的に広まったから、(中国が)こっそり奪おうとしている〉
〈中国はチマチョゴリもキムチも自分のものと言い張っていて本当にあきれる〉
などの書き込みが相次いだ。
“辛口”な論争を繰り広げる両国だが、実際には「誤解から始まった話」のようだ。食品問題評論家の垣田達哉氏が語る。
「そもそも今回、ISOで承認されたのは、キムチではなく四川省の製法で作られた『泡菜(パオツァイ)』というキムチに似た塩漬け野菜。その違いはISOが公表している文章でも明示されているが、中国語ではキムチも泡菜と呼ぶため話がややこしくなった。
ただ、韓国のキムチの輸入量が年々増えているのに対し、中国は輸出量を年々増やしている。中国メディアには名実ともに“優位に立った”とアピールする狙いがあったのでは。その煽りに韓国側がのってしまったがために、“本家対元祖”にも似た論争が起きてしまった」
韓国といえば、桜も寿司も剣道も、もともとは韓国で生まれたモノだと主張する「ウリジナル」がよく知られているが、まさか自らがやられる立場になるとは夢にも思っていなかったのかもしれない。
※週刊ポスト2020年12月18日号