高齢ドライバーによる大きな事故が後を絶たないが、75歳以上の運転免許保有者率は年々増加している(警察庁交通安全白書)。
現在、75歳以上のドライバーには「認知機能検査」が義務付けられている。ただし、この検査は加齢による運転能力の低下を調べる“実技試験”のようなものではない。
「家族が同乗して、運転能力をきちんと見極める必要があります」
こう指摘するのは、九州大学大学院教授の志堂寺和則氏だ。
「“日常生活の様子=運転能力”ではありません。免許返納の判断には、実際に運転する様子をチェックする必要があります」
それでは、免許返納の見極めはどこを確認すればいいのか。親の運転でチェックするべき15項目のポイントが別掲の表Aだ。
前出の志堂寺氏は、特に「“乗り心地”をチェックしたい」と指摘する。
「運転がぎこちないと同乗者の乗り心地は悪くなります。特に注意すべきは急発進や急ブレーキ、急ハンドル。若い頃は赤信号の数メートル手前から減速して滑らかに停止できても、身体能力が低下すると繊細なペダル操作ができず、停止線でいきなりガクンと止まることがあります」(志堂寺氏)
安全確認能力の低下は、道路状況への注意力で見極める。
「ウインカーの出し忘れや一旦停止を無視するなどの現象がみられるようなら要注意。左右・上下の視野が狭くなり、確認行動が取れなくなっている可能性がある。大事故につながりかねません」(同前)