日本シリーズで2年連続ソフトバンクに4連敗を喫した巨人は、オフの戦力補強に余念がない。DeNAから今季リーグの2位の打率3割2分3厘を残した梶谷隆幸、8年で50勝の井納翔一をFAで獲得した。打線の面では、2000安打を達成した坂本勇人、2冠王の岡本和真、今季は主に5番として支えた丸佳浩、そこに梶谷が加われば、さらにパワーアップするだろう。
しかし投手陣に目をやると、ポスティングによるメジャー移籍を目指している菅野智之が抜ければ、その穴は井納1人で埋まるものではない。今年の巨人は67勝45敗8分、貯金22で独走優勝を果たした。そのうち、菅野智之は14勝2敗で貯金12を作った。それを差し引いても、チームの貯金10はセ・リーグ最多だが、菅野の存在は勝ち星の数以上のものがある。野球担当記者が話す。
「菅野は今年の先発20試合のうち、13試合で7回以上を投げている。これは沢村賞を取った中日の大野雄大と同じです。菅野は優勝が決まった後の2試合は調整の意味合いもあり、5回で降板している。それを差し引いて考えると、18試合中13試合になる。つまり、菅野が先発すれば、7割以上の確率で7回を投げてくれた。中継ぎへの負担を考えると、かなり大きい」(以下同)
この基準で先発陣を見ると、戸郷翔征は18試合中4試合、サンチェスは15試合中4試合。日本シリーズで先発し、来季の飛躍が期待される今村信貴は11試合中3試合、畠世周は12試合中3試合。もう一人の先発助っ人であるメルセデスは11試合中1試合に留まっている。DeNAから移籍の井納は17試合中2試合しか7回以上を投げていない。
「今季の巨人の優勝は抑えのデラロサ、セットアッパーの中川皓太はもちろん、鍵谷陽平や大江竜聖、高梨雄平といった6回や7回を任せられた中継ぎ陣の貢献度が大きかった。しかし、彼らも終盤戦には疲れが見え始め、打たれるケースも珍しくなくなった。終盤、中川はケガで離脱したし、デラロサは打ち込まれることもあった。リリーフ陣が来年に疲労を持ち越していれば、なおさら7回以上を投げてくれる菅野の離脱は痛くなる。FAで補強が終わることはなく、これからはタフな中継ぎなどをトレードなどで狙うのではないか」
原辰徳監督の3次政権が始まった昨年は鍵谷陽平、今年は高梨雄平をシーズン途中に交換トレードで獲得している。