【著者に訊け】酒井順子さん/『ガラスの50代』/講談社/1550円
【本の内容】
50代になった作家の酒井順子さんが、50代女性が遭遇する迷いや悩みについてつづったエッセイ集。「若見せバブル崩壊」「性人生の晩年を生きる」「初孫ショック」「好きなように老けさせて」など、楽しくも深い18編。巻末には読者のアンケートを収録し、「誰にも言えない秘密」「悩んでいること」など、50代のリアルな声も紹介している。
みんなのモヤモヤした思いをスパッと活字にして楽しませてくれる酒井順子さん。新作は自身と同じ50代をテーマにしたエッセイ集だ。白髪を隠す隠さない問題、ユーミンのライブで涙、老母と娘のむずかしい関係など、笑いながらも考えさせられる一冊になっている。題名の『ガラスの50代』は光GENJIのヒット曲、「ガラスの十代」を思わせる。
「50代って、上の高齢者世代と下の若者世代の面倒を見なくてはならない世代ですけれども、実は心身ともに繊細で壊れやすい部分も抱えています。私自身、50代になって、もっと落ち着くのかと思ったら、意外に悩みの深まるお年ごろなんですよね」
まわりの友人、知人を見ても、自分に自信がなくなってきたり、前方に見えてきたシルバーライフを受け入れる心構えをしたり、改めて自身を見つめ直す時期に入っている人が多いという。
本や雑誌の中には、加齢を何とか前向きにとらえようと必死にアピールする記事もあるが、
「年をとるって、誰にでも訪れる自然なことなので、もっと普通に受け取った方が楽なんじゃないかなと。私自身は50年生きてきたということを、当たり前に受け入れたいと思っています」
と酒井さんは静かに語る。