香港政府は民主化活動家の動きを封じ込めるために、活動家本人やその家族の銀行口座を凍結するなどの新たな政治的締め付け策を実施し始めているという。これらの活動家に対する政府の強硬策に対して、活動家のみならず、一般の香港住民のなかでも「香港の銀行に預金を置いておくのは危ない」ということで、預金を海外の銀行に移す動きが加速している。香港メディアが報じた。
香港の銀行口座を凍結されたのは11月に立法評議会(議会)議員を辞任した許智峯(テッド・フイ)氏(38)。議会の場で反中的な過激な言動をしたり、親中的な法案の採択に当たって、異臭を放つ液体が入った容器を投げつけたりなどしたことで、起訴されている。
許氏は議員辞職前にデンマークで行われる地球環境保護のための国際会議に出席する予定を入れていたため、特例として、必ず香港に戻るという約束のもと、一時、香港を離れることを許された。
しかし許氏は12月3日、訪問先のデンマークで、英国への政治亡命を表明。香港在住の父母と妻、息子と娘の家族5人も4日に香港を離れ、英国で許氏と合流。家族ぐるみの亡命になった。
ところが、許氏が12月5日にロンドンに到着して、家族と合流したあと、銀行口座を確認したところ、すでに凍結措置がなされていたという。これらの口座は香港ドル紙幣を発行している香港上海銀行(HSBC)やスタンダード・チャータード銀行、中国銀行(香港)に加えて、香港の大手銀行である恒生(ハンセン)銀行などの香港を代表する複数の大手銀行が含まれているという。
香港政府は「法的責任から逃れようとする犯罪者を決して容認しない」として、許氏と家族の銀行口座を凍結したもの。香港警察は「詐欺とマネーロンダリングの容疑に関連して、5口座、計320万香港ドル(1香港ドル=13.43円)を凍結するよう銀行に依頼した」と発表している。