新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けたエンタメ業界。多くの人々が自粛生活を余儀なくされたことで、コンサートや映画など接触型のエンタメは壊滅的な影響を受けたが、ネットの動画配信など、「巣ごもり需要」を取り込む新たな動きが目立った年でもあった。その恩恵を最も受けたのが、韓国のエンタメ業界ではないだろうか。特に、『愛の不時着』など韓国ドラマの世界的ブームは記憶に新しい。ソウル在住のKDDI総合研究所特別研究員・趙章恩さんが、今年1年の振り返りと、来年日本で話題になりそうな韓国ドラマを紹介する。
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コロナ一色となった2020年、韓国のエンタメ業界は無観客コンサートのネット配信や動画サイトでの新作映画の封切り、テレビ会議システムを使ったファンミーティングなど、「巣ごもり消費」をいち早く取り込もうとさまざまな手を打った。
この1年でNetflixなどの動画配信サイトの利用者は大幅に伸びており、韓国言論振興財団の調査によると、2019年の47.1%から2020年には66.2%に増加。特に60代以上の増加率は大きく、2019年の17.7%から2020年には39.3%と2倍以上に伸びた。コロナ禍を背景に、動画配信サイトでドラマを観る人が増えたことや、幅広いジャンルのドラマが配信されたことなどが主な要因だろう。韓国でヒットしたドラマが日本でもヒットし、韓国人が面白いと思うドラマが日本人にも受け入れられたことで、韓国の視聴数がさらに伸びるという好循環が生まれていたように思う。
Netflixが12月14日「note」に公開した記事によると、今年配信した作品の中で「最も多い日数総合TOP10(日本)入りした作品」1位は『愛の不時着』。続いて2位に『梨泰院クラス』、6位『サイコだけど大丈夫』、8位『青春の記録』、9位『キム秘書はいったい、なぜ?』と、半分を韓国ドラマが占めた。さらに同社は、「配信直後から日本で最も勢いのあった韓国ドラマTOP10」も公開。1位はこれぞ“王道のラブコメ”と言える『キム秘書はいったい、なぜ?』。2位は『私のIDはカンナム美人』、3位『青春の記録』、4位『梨泰院クラス』、5位『サイコだけど大丈夫』だった。
一方、日本で人気になる韓国ドラマは、主にNetflixで配信されるものが中心のためこのようなランキングになるが、韓国で今年人気だったドラマは日本とは大きく異なる。韓国メディアのジョイニュース24が今年10月に集計した「2020年最高のドラマ」によると、1位『賢い医師生活』、2位『夫婦の世界』、3位『キングダム シーズン2』、4位『秘密の森 シーズン2』、5位『愛の不時着』、6位『サイコだけど大丈夫』となった。1位の『賢い医師生活』はNetflixで日本でも観られるが、日本ではそれほど話題になっておらず、日本で人気の『愛の不時着』、『サイコだけど大丈夫』は同ランキングでは5位以下だったのが興味深い。