突然、七転八倒の激痛に襲われ、長時間、苦しみにのたうち回る病気がある。例えば、腹痛に激痛が走る急性上腸間膜動脈閉塞症や、あまりの痛みに壁に頭をガンガン打ちつけたとの体験談もある急性膵炎、食中毒のアニサキスや群発頭痛なども耐え難い痛みが生じる病気だ。
名前こそよく知られているが、本当の痛さを知られていないのが痛風だ。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師が解説する。
「血液中に大量に増えた尿酸が関節にたまって結晶となり、激しい関節炎が生じる病気です、魚介類やビールなどに含まれるプリン体を多く摂取すると尿酸値が上がって発症しやすい」
商社勤務の40代男性は、就寝中に右足親指の付け根に激痛が走って飛び起きた。男性が振り返る。
「慌てて痛む親指を触ると、これまで味わったことのない痛みが脳天を突き抜けた。ズキズキというよりガンガンといった痛みで、“トンカチで足を打たれたらこんな感じか”と想像するほどの激痛でした。翌日さっそく受診すると痛風と診断されました」
痛風は一時的な発作が多く、鎮痛薬を飲めば数日~1週間ほどで落ち着く。だが食生活などを改善しないままだと、忘れた頃に激痛が戻ってくるのでくれぐれも注意を。
病名を聞いただけで少なからぬ男性が顔をしかめるのが尿路結石だ。飯田橋中村クリニック院長の中村剛医師が指摘する。
「尿に含まれるカルシウムや尿酸などが結晶化し、尿路に結石が生じる病気で、生活習慣や肥満などが原因です。『結石は夜作られる』といわれ、就寝前に食事したり深夜まで働く人がなりやすい。発作が起こるのも夜間や早朝が多いとされます」
尿路結石が激痛をもたらすことはよく知られる。
「突然、思い切り背中を殴られたような激痛に襲われて、反射で吐き気が生じて嘔吐することがよくあります。出産経験のある女性は、『出産時の痛みよりはるかに痛い』と言います。ある日突然症状が出るので、事前の心構えができない怖さもあります」(中村氏)
通院すると痛み止めを処方され、石が自然に排出されなければ手術する。再発が多いので、経験者は注意が必要だ。