芸能

朝ドラ『おちょやん』 「巧い」と評判の杉咲花の課題は

(時事通信フォト)

主演をつとめる杉咲花(時事通信フォト)

 例年より2か月遅れでスタートしている朝ドラ新作。視聴率からみると、スタートダッシュに成功したとはいえないようだが(初回は18.8%)、ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。

 * * *
 波乱に満ちた2020年を象徴する漢字は「密」。では、新たなNHK朝ドラ『おちょやん』を漢字一文字で表せば……「巧」。松竹新喜劇等で人気を博した浪花千栄子がモデルの物語ですが、とにかく主人公・千代を演じる杉咲花の演技が、巧みで上手い。

 千代は貧乏な家に生まれ、父に捨てられ芝居小屋のお茶子奉公に出る。幼い頃から苦労に苦労を重ねているけれど性格は底抜けに明るく、座布団を何枚も重ねて持ち小走りし、お茶子としてパワフルに働いています。

 千代を演じているのは東京出身の杉咲さん。毎朝、こてこての大坂弁のセリフはさぞや高いハードルかと思きや、かなりの評判をとっているもよう。東京出身の私では判断がつかないので関西出身の知人に改めて確認しましたが、「違和感なく自然に聞いていられるレベル」と高評価です。

 実は、杉咲さんは方言で芝居するのはほぼ初めてとか。それにしては信じられないほどスピード感があり、ああいえばこういう小気味良さ。実に「巧い」。練習量といったことを超えた天性の耳と芝居勘がありそうです。

 千代は元気で威勢が良いけれど、緩急メリハリをつける演技の方も「巧い」。今週は岡安の女将・シズ(篠原涼子)に思いを馳せ続ける過去の恋人・延四郎(片岡松十郎)が登場しました。延四郎とシズの秘められた関係。二人の間をとりもつ千代。苦しむ延四郎を前にして、千代は無言のうちに「二人のためにできることは何だろう」と逡巡する。微妙な心持ち、心の揺れをセリフではなく瞳だけでピタリと表現しました。

 千代は延四郎からの手紙を預かり、シズへと渡しました。キャピキャピしたお茶子姿を見せつけた上で、しっとりとした大人の恋の橋渡しに。登場からまだ5日ですが、ドラマの世界を一気に杉咲花色へと染め上げたようです。

 ではもしこれから杉咲さんに課されるはずのテーマがあるとすれば……それはいったい何でしょうか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン