一番人気が強かった秋のGIだが、ここは傑出馬不在の混戦模様である。競馬ライターの東田和美氏が朝日杯フューチュリティステークス考察した。
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2歳の暮れにこのレースを使って、翌年のクラシックを制覇した馬は2000年以降の20年間では3頭。2000mの中山競馬場のホープフルSがGⅡ(その後GⅠ)になり、朝日杯の舞台が阪神競馬場に替わった2014年以降は、2018年に3着だったグランアレグリアが桜花賞馬になったものの、牡馬は1頭もいない。だが、その後マイル以下のGⅠを勝ったのは、グランアレグリアを含めて8頭もいる。
一方、ホープフルSからは2014年以降だけでも3頭のクラシックホースが出ている。2016年の皐月賞馬ディーマジェスティもこのレースを選んだが、馬番確定後に出走を取り消している。阪神で行なわれていたGⅢのラジオNIKKE杯時代から合わせれば、過去20年で13頭のクラシックホースが出ている。
かつて2歳牡馬(セン馬)GⅠが朝日杯しかなかった時代、2歳トップクラスの馬でも、ここでの結果を見て来春の構想を立てていたが、いまやこのレースを前にした時点で選択を迫られている。勝ち上がった有力馬が多い厩舎や、牧場サイドが主導権を握っている場合は、「使い分け」も考えられるが、いずれにしろクラシック戦線に突入したということだ。1週間後のホープフルS登録馬と臨戦過程などを見比べて検討するのもいいだろう。
距離適性については藤沢和雄調教師が著書『GⅠの勝ち方』(小学館)でこう述べている。《使ってみないとなかなかわからないところがある。競馬に使ってみて初めて、やっぱりマイルより長い距離は難しいかもしれないとか、逆に短い距離ではスピードが足りないとか判断できることが多い》。2014年以降の勝者のうちリオンディーズは2000m、サトノアレス、ダノンプレミアムは1800mでのデビュー勝ち。しかし2000mのホープフルSではなく、こちらに照準を合わせて結果を出した。
さらに2000年以降の勝ち馬でも、半数以上の11頭が1800m以上の距離経験があり、うち8頭は勝っている。もちろんGⅠということはあっただろうが、適性を見極めていたのだろう。G1 レースとなるとタイムも大幅に短縮するが、そんなときマイルより長い距離を経験していることがプラスになったとはいえないか。なおダートを含む1400m以下でデビューした馬も、このレースまでに1600m以上を経験している。GⅠでいきなりの距離延長は厳しいのだろう。