アメリカ大統領選挙は、12月14日に選挙人による投票を終え、本選挙の結果通り、バイデン氏が次期大統領に指名された。これを受け、ようやく共和党はバイデン氏を次期大統領と認め始めているが、総大将のトランプ大統領はいまだにファイティングポーズを崩していない。バイデン政権はかつてない激しい批判と抵抗にさらされながらスタートを切ることになる。その結果もたらされるものは何か。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は「アメリカの分断はこれからが本番だ」と警告する。
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選挙人投票を受け、上院で多数派を形成する共和党のミッチ・マコネル院内総務は、ついにバイデン氏とハリス氏を大統領選挙の勝利者と認め、1月20日に新しい大統領と副大統領に就任することを祝福した。これで長かった大統領選挙の混乱が収束する――かというと、そうはなりそうもない。
「遅い! 大統領選挙から6週間も経っている。これまで何をしていたのか。コロナは広がる。犠牲者は増える一方じゃないか」と吐き捨てたのは、筆者の友人、ホレイシオである。マンハッタンの筆者の自宅前での立ち話だ。軽蔑を込めて親指を動かし、5番街の方向に向けてしゃべっている。筆者の自宅は5番街にあるトランプタワーと同じストリートにある。ホレイシオはトランプ大統領に対する怒りが抑えられない様子だ。
彼は、兄弟をコロナで亡くした。昔からの保守派で共和党支持だったが、今回はバイデン氏に投票したという。ホレイシオは続ける。「マコネルは、バイデンの大統領就任を認めはしたが、トランプとの連携を保っている。そして、何人かの上院議員を除けば、院内総務の力と地位を利用して、共和党議員を操っている。トランプのTwitterは見たか?」と筆者にも食ってかかる勢いだ。ホレイシオの言う大統領の「つぶやき」は以下のものだ。
《Mitch, 75,000,000 VOTES, a record for a sitting President (by a lot). Too soon to give up. Republican Party must finally learn to fight. People are angry! (私は7500万票を得た。現役大統領としては最高記録だ。ミッチ、あきらめるのは早すぎる。共和党は、結局は戦わなければならないことを知るだろう。人々は怒っている。)》
マコネル院内総務に不満を漏らしたようにも読めるが、確かにこの文面からすると、まだ2人は盟友関係にあるという印象のほうが濃い。トランプ氏は本当に自分を裏切ったと思う相手には、もっと辛辣な言葉で徹底的に罵倒する。マコネル発言後のメディア報道でも、同氏はまだトランプ氏と何か政治的な取引をしていると見る専門家が多いようだ。