今年、新型コロナウイルスの感染拡大は「大学」にも大きな影響を与えた。学生は入校禁止になってキャンパスに行けず、授業はオンライン形式が当たり前になった。1年前には到底考えられなかったことだ。
後期になって、ようやく対面授業を再開した大学もあるが、まだ少数派だ。多くの大学では、対面授業は実験・実習やゼミナールなどに限っている。小・中・高が「休校→分散登校→授業再開」と進んだのに対し、大学はまだ分散登校の段階だ。
一方でオンライン授業の良さも評価されつつあり、コロナ終息後も対面とオンラインの両方で授業は進められていきそうだ。
コロナ対策に気を取られ実力出せぬ受験生も?
ただ、大学は在学生に向けたオンライン授業の環境は慌てて整えたが、受験生に対しては情報提供の充実は図られず、受験生は志望校の情報不足に陥った。
大手大学ではオープンキャンパスを中止し、オンラインで開催するところが多かった。中小規模の大学では、予約制で入場者を昨年に比べてかなり減らして実施したところもあった。リアルなオープンキャンパス開催が少なかったため、小規模で実施した大学では受験生、保護者には大変好評だったという。
広い会場にたくさんの大学を集めて行われる合同相談会もほとんど中止されたため、受験生や進路指導教諭の情報不足は深刻だ。志望校選びにも影響が出そうで、受験生があまり知らない大学との出会いが減って、有名大学に人気が偏るのではないかと見られている。
さらに、入試の実施要項も発表されているが、やはりコロナの影響は大きい。マスク着用で試験会場の入場は密にならないよう時間差で入場。試験場では入室時には必ずアルコール製剤などでの消毒が必須で、受験生同士の間隔は1メートル以上空けなければならない。
また、各試験科目が終わる度に10分以上の換気を行い、他の受験生との会話を慎み、食事は自席で黙々と食べることになる。ただでさえ緊張する入試だが、今年はそれ以上に注意点が多く、受験生が普段の実力を発揮できるかが懸念される。