誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。「JRA重賞年鑑」に毎年執筆する気鋭の作家・須藤靖貴氏が、陣営(馬主さん、厩舎、生産牧場)と騎手を仲介するエージェント(騎乗依頼仲介者)に着目してレースを見直し、グループ内の騎手の序列についてお届けする。
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同じエージェント(以下age)の騎手が重なるレースのデータ(2020年4月~12月)を取ると、漠とした印象がファクトとして固まってくるのだった。数字ばかりが誌面を埋めて恐縮ですが、少々おつきあいを。
前回(『週刊ポスト』2020年12月18日号掲載)にも触れた「松山・和田竜・松若」の櫻井グループ(G)。3者揃ったのは85レースもあった。「この3人なら、誰かしら馬券に」と馬柱を眺める。誰かが勝ったのは20回。1人が馬券に絡むのは5割以上。でも3スカ(誰も馬券に絡まない)も39回あった。
3人のうち2人が出たレースは183回。どちらかが勝ったのは37回。2、3着が66回だった。主将の松山がリーディング上位(12月6日終了時点で全国4位)だから当たり前か。ちなみに和田竜は14位、松若は24位である。
福永、岩田親子の属する小原Gはどうか。まず岩田親子の同レース騎乗は44回。リーディングでは岩田望10位、岩田康20位で親父に分が悪い感じである。だが2人の後先を見ると、岩田康の先が23回。親父、頑張っている。
いやいや勝負は時の運。注目すべきは着順よりも単勝人気だろう。同じage内の序列がはっきりすれば、馬券の参考になりそうだ。
岩田康が岩田望よりも上位人気だったのは23回といい勝負。うち19回は着順も上位。岩田親子が顔を揃えたレースで親父の人気が上回る場合、序列下位の馬は切ってもいいのかなと思わせる。