12月20日に放送された『M-1グランプリ2020』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で、見事王者に輝いた「マヂカルラブリー」(野田クリスタル・村上)。2017年の決勝では最下位となり、審査員の上沼恵美子から酷評されたが、3年越しで雪辱を果たした格好だ。
ボケ担当・野田の奇抜な動きに、相方の村上がツッコミを入れるというスタイルについては、かねてより「漫才ではない」という意見も少なくなかった。それでも野田は番組終了後の記者会見で「これは漫才です」と言い切った。王者となったことで、その言葉には強い説得力が宿っていた。
野田は今年、ピン芸人日本一を決める『R-1グランプリ』(カンテレ・フジテレビ系)でも優勝しているが、新型コロナ蔓延の影響もあって、その後のテレビ露出が増えたとは言い難かった。そうした中でもYouTubeチャンネルでオリジナルの動画を更新、ネタの改良を続けてきた努力が、今回ついに報われた。
西の粗品、東の野田クリという2人の“天才”
「M-1」と「R-1」の二冠に輝いているのは、現在、「霜降り明星」の粗品と野田クリスタルだけ。方向性は異なるものの、それぞれ10代の頃から注目され、“天才”として周囲の芸人からも一目置かれてきた。だが、賞レースで華々しい戦績を残す「西」の粗品に対して、「東」の野田は“地下芸人”に括られることもあり、辛酸を舐めてきた時間も長い。
関東の劇場でマヂラブの漫才を見てきたお笑いファンの女性・Aさん(30代)は、こう話す。
「面白さは昔から変わらない。野田クリのことを理解できないという人もいると思うが、それが彼の唯一無二の魅力。野田クリの真似をしようと思う後輩芸人がいないのは、『真似できないから』だと思います。周囲のお笑いファンとは、『ようやく時代が野田クリに追いついてきた』と盛り上がりました。昔はすごく体型が細く、いわゆるガリガリのイケメンタイプでしたが、肉体改造して、容姿も柔和になった。世間がとっつきやすくなったのだと思う」(Aさん)