正月の風物詩となった東京箱根間往復大学駅伝競走、通称「箱根駅伝」は、数々の名ランナーを生み出してきた。『週刊ポスト』読者が選んだ「歴代大会で印象に残るランナー」アンケートを集計した。ランキングをみると、瀬古利彦(2位、元早稲田大、1977~1980年)や渡辺康幸(5位、同、1993~1996年)、相澤晃(9位、元東洋大、2017~2020年)ら「花の2区」を駆け抜けたエース走者の名前もある。
現在は住友電工陸上競技部監督を務める渡辺氏はこう振り返る。
「1年生で2区に抜擢された時のプレッシャーは相当なものでしたね。最長区間(23.1km)である2区が難しいのは、走力もスタミナも求められ、ペース配分が難しいわりに各チームのエース格が走るので、大きな差がつきにくいところ。ただ、区間賞を獲ったり、区間上位でまとめることによってチームの優勝を引き寄せられる重要な区間でもあります。
コースは序盤が平坦ですが、15km付近からは権太坂の長い上りが始まって選手の体力を奪い、さらに気温も上がってくる。我慢のしどころです。そして連続したアップダウンの先にある戸塚中継所までのラスト1㎞はまるで山登り。“2区は最後の3kmで勝負が決まる”といわれるゆえんで、どれだけ足が残っているかが重要になります。私も1年目は無我夢中で走りましたが、経験を重ねた3年、4年の時にはペース配分がわかるようになった。何度も走っている選手が有利な傾向にあります」
前回の箱根で2区を経験した選手で、今回もエントリーが有力視されるのは拓殖大のラジニ(2年)、国士舘大のR・ヴィンセント(3年)ら留学生ランナーが目立つ。
その一方、渡辺氏は駒澤大のエース・田澤廉(2年)が初めて2区を走るとみて、注目しているという。全日本ではアンカーとして東海大・名取燎太(4年)、青学大・吉田圭太(4年)を振り切ってチームを優勝に導いた。渡辺氏がいう。
「私も同級生のマヤカ選手(アンケート18位、元山学大)とのライバル関係がモチベーションになりましたが、田澤選手ら日本人エースたちと、東京国際大のY・ヴィンセント選手(2年)ら留学生が切磋琢磨する姿を期待しています」