中国では2020年に100年に1度といわれる豪雨による洪水被害が発生し、被災者は7000万人を超え、経済的な損失は約3兆円にも達している。その一方で、中国全土の8000以上の大中型ダムや貯水湖が危機的な状況に達していることが分かった。中国政府は今後5年間でこれらのダムなどの補修費用として、1000億元(約1兆6000億円)を国家予算に計上。このなかには世界最大のダムとして知られる三峡ダムも含まれている。
中国の通信社「中国新聞社」によると、中国の9月末現在の洪水被災者は過去5年間の平均に比べて17%増の約7047万人に上っている。
今年は梅雨入り後の増水期に入ってから、751本の河川で警戒水位を超え、長江(揚子江)、黄河、淮河(わいが)、珠江、太湖などの河川・湖で18回も洪水が発生。長江、太湖では大洪水が発生し、とりわけ長江上流での洪水規模は「100年に1度」といわれるほど被害が甚大だった。
洪水被害は中国全土の31省・直轄市・自治区のうち、28省・直轄市・自治区に及び、直接的な経済損失は過去5年の平均額の27%増の約2143億元(約3兆3300億円)に上った。
中国国家洪水・干魃対策指揮部秘書長で緊急対応管理省次官の周学文氏は中国政府の会合で「今年の洪水被害は1998年以来、最も深刻だった。中国は引き続き増水期にあり、河川の状況を把握し、地滑りや台風などにも備えなければならない」と報告。そのうえで、「現在の緊急任務は中国全土で9万8000以上あるダムや貯水胡の点検であり、そのうち8000以上の問題が多いダムなどを極めて速やかに修理することだ」と指摘したという。