2020年は異例のシーズンとなった。大学3大駅伝の初戦となる出雲駅伝は中止になり、9月には関東学連が箱根駅伝の“無観客開催”を発表。出場校の応援団、OB、選手の家族らにも沿道での観戦の自粛を求めている。毎年恒例の芦ノ湖、大手町のゴールでの号外や沿道での小旗の配布もなくなる。
「キャッチフレーズは〈応援したいから、応援に行かない〉です。例年は沿道で見守るファンでも、今回はテレビ観戦にする人が多いと考えられる。これまでの最高視聴率は青学大の連覇を東海大がストップした2019年の32.1%(復路)だが、それを凌ぐ歴代最高の数字となるのではないか」(スポーツ紙デスク)
コロナによって正月の外出が減り、テレビ観戦を楽しむ人が増えることが考えられるなか、今回は近年にない大接戦が予想されている。前哨戦となる11月の全日本大学駅伝でも、アンカーまで勝負がもつれた。
スポーツライターの酒井政人氏が解説する。
「全日本の最終8区では一時、青学大、東海大、駒澤大が並走するデッドヒートとなった。箱根でも、連覇を狙う青学大、前々回覇者の東海大、そして全日本で激戦を制して6年ぶりの優勝を果たした駒澤大が軸となる。そこに全日本で最後に青学大をかわして3位に入った明治大が絡む4強の構図でしょう。
コロナによる異例のシーズンとなり、各校が調整に苦心した。例年であれば経験の少ない下級生らを距離の短い出雲駅伝で起用してロード勝負に慣れさせつつ、距離を延ばしていくが、そうした道筋がたどれなかった。中止になった記録会やハーフマラソンも多く、本番でフタを開けてみないと分からない要素がかつてなく多い」
※週刊ポスト2021年1月1・8日号