鈴木 そうですね。正月飾りはテキ屋が始めたかもしれないし、それらが戦後はみんな暴力団のシノギになっていったのでしょう。戦前までは、地域によっては江戸と同じように町奴とか火消しの系統が仕切っていたかもしれませんね。
溝口 みかじめ料というと、ヤクザがカネを脅し取るみたいに軽く考えられているけど、実は、みかじめ料を地域の人が払うというのがヤクザを成り立たせていた基本構造なんです。正月飾りはその同じ地平にある。それが今は取り締まりが厳しくなって、地域が養っていたヤクザが地域から切り離されてギブアップ状態になっている。
鈴木 もともと地域のお祭りと言えば、ヤクザががっちりつかんでいたわけです。「飲む」「博打」「興行」それから「フリーセックス」、そんな話でしょう?
溝口 お祭りっていうのは、多くが神社に由来する。神社の境内というのは伝統的にテキ屋が差配権を持つのが普通でした。それもなくなってきて、一般の人からは「寅さんはヤクザなんですか」なんて質問が出てくる。
鈴木 ヤクザじゃなかったらなんなのよ(笑い)。昔は年が明けるちょうど夜中の12時に神社にお参りする人たちの先頭には、地元のヤクザがずらりと並んでいた。それだけ地元の顔だったということなんです。