ライフ

鎌田實医師が考える、募金と移住希望者の増加に共通するもの

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師

 昨今、「募金」に対する関心が高まっているという。自身も毎年募金活動に参加している諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、募金に興味を持つ人が増えた背景を考察する。

 * * *
 ぼくが代表を務めているJIM-NETでは、毎年チョコ募金を実施している。イラクの白血病の子どもたちが描いた絵をチョコ缶にプリントし、募金をしてくださった人にプレゼントするというもの。収益は、イラクやシリア難民の白血病の子どもたちの薬代になったり、国内では福島の子どもたちのために使っている。

 今年は、チョコ缶を10万個用意した。コロナ禍のため例年より少なめだ。しかし、受付を開始して1週間でうれしい誤算に気付いた。なんと約4万個も申し込みがあったのだ。こんなにハイペースなのは、16年間やってきて初めてのことだ。

 チョコレートを原価で提供してくれている六花亭や、缶をつくる工場、発送をしてくれている福祉作業所とも相談し、2万個を追加することになった。みんな快く引き受けてくれた。

 それにしても、なぜ、こんなにも多くの人が協力してくれたのだろう。コロナ禍で自由に行動できない分、「募金」という形で社会のために何か役立ちたいという思いをもつ人が増えたのではないだろうか。

地方移住問い合わせが殺到

 もう一つ、注目している現象がある。空前の移住ブームである。ぼくが住んでいる茅野市では、移住相談がこれまでになく多数寄せられている。市役所での窓口相談やオンラインでの相談にも応じている。毎年実施している移住体験住宅はコロナのため中止しているが、感染が沈静化したころを見込んで、古民家を改築したプチ移住体験住宅を準備しているという。

 生きているといろんな困難に直面するが、「働く場」があり、「愛する人」がいれば困難な状況のなかでも生き抜けるといわれている。逆に言えば、「働く場」がないこと、「愛する人」がいないことそのものが、大きな困難になるということだ。

 新型コロナウイルスの感染が広がりだした初めのころは、昨年と比べても自殺者は少なかった。だが、夏以降、急激に自殺者が増え始めている。一度失業した人がなかなか次の仕事が見つからない状況になったことは大きいと思う。

 そんななかで、人とのつながりを求める人が出てくるのは、当然のことだと思う。寄付の増加も、地方への移住も、従来にない「らしくない」生き方の始まりだと思う。こうした行動バターンは、今後も増していくのではないか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン