中国は2020年12月下旬、宇宙ビジネスを主な目的として開発した新型ロケット「長征8号」の打ち上げに初めて成功したことを受けて、今後1年間で少なくとも20基の長征8号を打ち上げる予定であることが明らかにした。習近平指導部は2015年に発表したハイテク産業育成策「中国製造2025」で宇宙開発を重点領域に位置づけており、この長征8号打ち上げ計画は技術力だけでなくコスト競争力を高める狙いもある。
中国は11月に無人月面探査機を打ち上げ、月の土壌サンプルを持ち帰ることに成功。これは米国、旧ソ連に続いて44年ぶりのことだ。また、7月にはこれまで米国しか成功していない火星探査機も打ち上げており、2021年7月に中国共産党が結党100周年を迎えるのに合わせて、火星を探査する計画となっている。米国に対抗して『宇宙大国』を目指している中国に対し、米政府は強い警戒感を示している。
中国国営新華社電によると、長征8号は12月22日、海南省の文昌宇宙発射場から打ち上げられ、衛星5基を予定通りの軌道に投入した。長征8号ロケットは全長50.3メートル、離陸重量は356トンで、中国の国有大手で宇宙開発を手掛ける中国航天科技集団が製造しており、ロケットの一部を再利用するなどでコスト面も重視したとされる。
長征8号は主に国際的な競争力を重視した商業衛星の打ち上げを担うロケットであり、中国政府の最新科学技術計画を集めた「中国ハイエンド設備革新プロジェクト実施ガイド(2016~20年)」のなかでも最重要プロジェクトと位置付けられている。
このほかにも、中国は2021年6月、全世界での中国版GPS「北斗」の運用を開始しているが、これは軍事的にも大きな意味を持っている。