戦後最悪といわれる日韓関係だが、今は両国ともコロナ第3波に苦しみ、経済も国民生活も窮地にある。韓国の文政権も日本の菅政権もコロナ対応で国民の信頼を失い、支持率が急降下しているのも共通だ。しかし、第1波、第2波では「コロナの優等生」とされた韓国のほうが国民の失望と混乱は深刻なようだ。『週刊ポスト』(2021年1月4日発売号)では、コロナ後の日韓の国力を比較する特集を掲載しているが、なかでも両国民の関心が高いコロナ対応について、改めて韓国が抱える苦悩をリポートする。
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2020年12月、日本でも韓国でもコロナ第3波は猛威を振るった。春から夏にかけての世界的な流行では、韓国は先手先手のPCR検査で感染を食い止め、「K防疫」と称賛を浴びたものの、それにあぐらをかいたわけではないだろうが、第3波では対応が後手に回って他国に比べても混迷を深めた。漢陽女子大学助教授の平井敏晴氏は現地の混乱ぶりをこう明かす。
「韓国政府は感染を食い止めるため、12月14日からPCR検査をすべて無料にし、誰でも検査を受けられるようにしました。第1波では徹底した検査で成功しただけに、当初は国民全員を検査すると意気込んでいたのですが、いざ始めてみると検査所には長蛇の列ができ、ソウルの江南地区では3時間待ちになったり、待たされた挙げ句に検査を受けられないといった事態も起きています。報道では、このペースで国民全員を検査するなら471日かかるとされています。そのため、手あたり次第に検査するのではなく、家族で一人ずつ受けるのがいいのではないかといった意見も出て混乱しています」
韓国ではもともと人口あたりの病床が少ないため、日本以上に医療崩壊の危機が懸念されており、すでに医療体制の脆弱さによる悲劇も起きている。平井氏が続ける。
「京畿道のホスピスでクラスターが発生し、すぐに専門病床への入院ができずに待機していた高齢者3人が亡くなっています。また、早期胎盤剥離でソウルの大学病院に駆け込んだ妊婦が、高熱だったためにコロナの検査を強いられ、検査結果を待っているうちに死産して、本人も敗血症で入院するというケースも報じられています」