芸人でスナック経営者でもある玉袋筋太郎が取り組んでいる「“夜の街”応援プロジェクト」にアツい注目が集まっている。長期化、深刻化するコロナ禍に立ち向かうべく、プロジェクトの先頭に立つ玉袋に、改めてスナックへの思いや、スナック文化のこれからについて聞いた。
──スナックは初心者には敷居が高い場所かもしれませんが、一歩その世界に踏み込むといろんな魅力が溢れている世界ですね。
玉袋:ある店のママは、“ウチは私が恋のキューピッドだから”って言うわけ。お客同士やお客とアルバイトレディが結婚したりとかね。いい意味で新興宗教になってるわけよ(笑い)。人生に大きな影響を与えてくれる場所にもなっているんです。
ちょっと前にパワースポットが流行ったけど、全国に約7万軒あるスナックにはそれだけ“神様”が宿っていてさ、パワースポットがある。そんな場所に行かないのはもったいないよね。
──出会いの場としての魅力はもちろん、人と触れ合うことでいろんなドラマが生まれますね。
玉袋:さまざまな人が集まるスナックは、人間を見抜く力を養ったり、人間を研鑽してくれたりする場でもあるよね。研鑽というと堅苦しくなっちゃうけど、スナックでの人との触れ合いは、心の角を削ってくれるいい感じのサンドペーパーで、心を滑らかに磨いてくれるんですよ。
スナックが結びつけてくれた「人の縁」
──人々との触れ合いというと、玉袋さんは2012年より東京・奥多摩の檜原村の観光大使を務められているとか。
玉袋:全国のスナックを突撃取材する『ナイトスナッカーズ』という番組で檜原村にロケに行った時にね、「あんな山の中にスナックがあるわけねえだろ」と言ってたんですが、着いたら1軒あったんですよ。で、1軒しかないから、村の人たちがみんな寄り合いで飲みに来てるわけ。オレ、実は檜原村には倅(せがれ)が小さいころから川遊びやサイクリングに連れて来てたんです。
そんな話をしたら、村の人が喜んじゃってね。「ロケに来るタレントさんはいるけど、これだけ村のことを愛して、利用してくれている人はいないよ」って。それで村長に観光大使になってもらうよう進言しておくってことになってさ(笑い)。オレは眉唾と思っていたら、実際に村長に話がいったんですよ。
でも、玉袋筋太郎なんて名前だから、まさか観光大使はないだろうと思っていたら、村長さんは「名前じゃない、人間の中身だ」ということで観光大使にしてもらったわけ。これもスナックが結び付けてくれた縁だね。