日韓関係が冷え込むなかで起きたコロナパニック。いまや両国政府は最優先事項としてコロナへの対応に追われている。そうした中で、日韓の国民生活について改めて比較してみよう。住みやすいのはどちらの国か?
日韓両国に共通する少子高齢化問題。日本は長く“世界一の長寿国”といわれてきたが、実は韓国と平均寿命はさほど変わらない。
対照的なのは高齢者福祉だ。韓国は国民年金制度の歴史が浅く、年金額そのものが少ない。月3万円ほどの老齢基礎年金だけで生活を強いられる高齢者も珍しくないという。その結果、高齢者の貧困率は経済協力開発機構(OECD)の加盟国で最も高い。
治安面でも日韓の差がついた。2019年の刑法犯認知件数は日本の約74万件に対し、韓国は約161万件。人口比で見ると約5.2倍となる。
「韓国では拘置所内でコロナのクラスターが発生し、12月末に最高検察庁が感染拡大を防ぐため、被疑者の逮捕を極力控えるよう異例の指示を出しました。この措置によって、さらに犯罪が増加しないか懸念されています」(韓国・漢陽女子大学助教授の平井敏晴氏)
デジタル化では、韓国が大きくリードする。韓国のキャッシュレス決済比率は96.4%に達し、26.8%の日本を引き離した。スイスの国際経営開発研究所が発表した世界デジタル競争力でも日本は27位、韓国は8位だ。
国民生活に直結する携帯料金は、韓国が日本より月額2000円以上安い。菅義偉首相は値下げを打ち出しているが、差は縮まるだろうか。
※週刊ポスト2021年1月15・22日号