《欲しいものは早く買わなきゃ。死ぬまでの日割りが安くなるじゃん!》
《備蓄してる人に限って、また買いたがる。あなたトイレットペーパーに埋もれて死ぬよっていうくらい買ってる》
ヴァイオリニスト・高嶋ちさ子(52才)がいろいろなところで吠えている。「歯に衣着せぬ発言」とは、彼女のために作られた言葉かと思うほどだ。
機関銃のように飛び出る“毒舌”の数々は、嫌みもないし、忖度もない。ぶれずに一本筋が通っていて、共演者でも家族でもおかまいなし。いまの恋人との関係を思い悩む女性には、「男は山手線っていうんだよ。ちょっと待ったら次がくる」と、ズバッと一刀両断したこともある。そんな切れ味鋭い自由奔放な発言に魅了される人が後を絶たず、年間100本ものコンサートを開催する傍ら、『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系)をはじめとして数多のテレビ番組に引っ張りだこで出演している。
すっかり“お茶の間の人気者”となった彼女は、いかにしてつくられたのか──。
容姿を褒められるのは、中身をけなされているのと同じ
《「あなたみたいなのは悪性よ」「劣性よ」など、いろんな暴言を浴びせられてきました。いつもそんな口撃をされていたので、傷つく、という感じもなかったです。兄に「『れっせい』ってなに?って聞くと、兄は兄で「パンダの種類じゃね?」なんて言ってました。そりゃ、レッサーパンダだよ》
これは、高嶋ちさ子が上梓した著書『ダーリンの進化論』(小学館)で描かれた高嶋家における親子間のやりとりだ。
同書には生まれ育った家の“弱肉強食ルール”からプチ反抗期に突入した2人の息子の子育てまで、高嶋家の暮らしぶりがユーモラスに綴られている。
書き上げるまでに構想10年を費やしたというちさ子はこう振り返る。
「私の折れない心のルーツは生まれ育った高嶋家にあります。私の戦闘的なところは、年子の兄との応戦と、気が強い母の血。子供の頃のあだ名は“悪魔”で、大学卒業後に留学したアメリカでも、ニックネームはやっぱり“デビル”でした(笑い)。そんな“気の抜けない家”だった高嶋家の様子と、その後の夫の“進化”ぶりを書きたかったんです」(ちさ子・以下同)