1918(大正7)年に富山県の“おかか”が起こした「米騒動」を基にした映画『大コメ騒動』が現在公開中。コメの価格の高騰に立ち上がった「おかか=母たち」の姿を描く同作では、富山出身の本木克英監督を筆頭に、富山ゆかりのキャストが集結した。おかかたちのリーダー・清んさのおばばを演じる室井滋さん、おかかと対立する米商店の女将・とみを演じる左時枝、妹・きみ役の柴田理恵さんはいずれも富山県出身。さらに立川志の輔、西村まさ彦、内浦純一といった富山県出身者たちも出演する。そこで、今回は本木監督、室井さん、柴田さんの3人の富山県人が集まり、富山について語り合ってもらった。
柴田:富山らしいといえば、清んさのおばば。あれはおばばが偉いんですよ。布団で死んだふりなんかして、おかかたちがこれからは自分たちがしっかりしなきゃいかんと団結して飛び出した途端に、にやりと目を開けて金歯を“キラ〜ン”とさせて。
室井:あれは自分でもおかしかった。
〈劇中、おかかたちが大挙して米商店へ押しかけたことで見せしめに清んさのおばばが投獄されてしまう。おばばは牢屋で抵抗を続けるも次第に衰弱し、リーダーを失ったおかかたちの結束は次第に緩んでいく……。そんな中おばばが釈放され、おかかたちは床に伏して“死にかけた”おばばを囲んで決起集会を開き、再び立ち上がる〉
柴田:リーダー格のおばばはみんなをまとめるために、ああやって知恵を働かせる。あの感じ、よくわかるなぁ。で、後になっておばばは偉いもんだねと、みんな言うんです。
室井:おばばは偉大なのよ。ウチの祖母も孫娘に格言とまでは言わないけれど、「悪いことがあったら落ち込むのではなく、厄落としできたと思いなさい」など教訓的なことを、よく説いてくれましたね。子供の頃はどういう意味なんだろうと思ったけれど、忘れない。大人になったいまでも何かにつけ、祖母の言葉を思い出します。そういう役割が富山のおばばにはあるんじゃないのかな。
柴田:私が小さい頃、宿題をさぼっていると、ウチのおばばは「明日ありと 思う心の仇桜、 夜半に嵐の吹かぬものかは!」と怒って、この世は儚いよと。面倒くさがって「明日やるわ」なんて言うと、必ずそうたしなめられたものです。