スターであればあるほどパブリックなイメージから脱却するのは難しいものだ。しかし木村拓哉には変化の兆しも見受けられるという。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。
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年末年始に放送された数あるスペシャル番組で目をひいたのは?--1月 3日の前編が世帯視聴率13.5%、翌4日の後編は13.2%。2夜連続13%台を維持し、同時間帯横並びトップを獲得、注目を集める結果となったのが木村拓哉主演のドラマ『教場II』(フジテレビ系)。数字を見る限り、前編からの離脱者もほとんどいなかったもようです。
とはいえ、コロナ禍の中でのシビアな年始。ドラマの主人公・冷酷無比な警察学校教官、風間公親はニコリともしないどころか「落ち度があれば即刻退校だ」と迫ってくる。癒やしの要素やリラックスシーンはあまりにも少なく、厳しい訓練、拷問に近い残酷なシーンもあって、人が亡くなったりケガをしたり。血の凍るような重苦しい空気が漂う。映像に照明、音楽も緊張感を高める効果がバツグン。
……という「氷の世界」を、いったいどこまで我慢できるだろうか。いつまで見続けることができるか? と自問自答しながら見ていました。もし、視聴率が示すように画面に吸い寄せられた人が多かったのだとすると、「怖い物見たさのホラー感」も寄与していたのでしょうか。
もちろん見所はいろいろありました。生徒役に福原遥、杉野遥亮、眞栄田郷敦、上白石萌歌、乃木坂46・樋口日奈、SnowMan・目黒蓮……今注目の若手たちがズラリと勢揃い。それぞれの個性が光っていた。一人一人の感情の機微、抱えている問題が浮き彫りになり、謎解きも隠されていてミステリアスな展開。中堅どころの役者として松本まりかや濱田岳らも熱演していました。
でも、それだけではない。なぜ、こうもじっと「氷の世界」に見入ってしまうのか。やはり、あの人の威圧的な存在感こそが牽引力か。風間を演じた木村拓哉の異様。あの空気はどこから出てくるのか? 少し前までは「何をやってもキムタク」など揶揄的フレーズが響いていたのに。
実は、奇しくも年末の別番組『ヒューマニエンス “目” 物も心も見抜くセンサー』(NHK 2020年12月24日)において「風間教官を読み解く重要なヒント」が示唆されていたのです。