放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、読む「W」と称して、女流芸人たちの本についてお届けする。
* * *
さんざんだった2020年、私の干支ネズミ年も終わり(ガースーの菅総理と同じ72歳)、明けて2021年はうまくいけば丑だとか。正月くらい、ひと時コロナを忘れて読書というのもいかがか。私の机には、女流芸人達の本が山積み。読む「W」である。「芸」の種類も様々、各ジャンルからヨミネートである。
まずは〈浪曲〉。2020年は神田伯山誕生で“講談”にスポットが当たったが2021年は玉川奈々福、玉川太福の“浪曲”にスポットを当てまくっちゃおう。「イヨッ待ってました!」「日本一!」「たっぷり!」「名調子!」の掛け声の中、元出版社で編集をやっていた人が気がつけば浪曲界の看板になっていた。
玉川奈々福が書いた『浪花節で生きてみる!』(さくら舎)。この人は昔からなにかを生み出す力を持っている。企画・創造の能力が浪花節に今日的なパワーをつけていく。奈々福の芸と文章の節まわしの良さに魂ももっていかれる(正月早々ほめ過ぎか)。日本人なら浪曲は分かるはず、聞いて読んでみて下さい。
〈ものまね〉の世界からは清水ミチコ『私のテレビ日記』(講談社)。いつも「おやっ?」と思わせる、普通の人とは違う視点があって“喋り”も“文章”も面白いのだが、“芸”は「ひと真似」でも文章はオリジナル。この人のライヴでのアイディアにはいつも笑わされる。2021年も1月2日の武道館から私も“客席スタート”である。