ライフ

街ゆく人が全員マスク姿 認知症の人は混乱し不安は増す一方

マスク装着が欠かせなくなった朝の通勤風景(AFP=時事通信フォト)

街ではほぼ全員がマスクを装着(写真/AFP=時事通信フォト)

 認知症の母(85才)を支えるN記者(56才)が、介護の裏側をつづる。コロナ禍でのマスク姿に、母が混乱したという──。

 * * *
 街中、マスクをした人だらけ。人の顔がよく見えないことは、認知症の母にとって大きな不安のようだ。それでも、マスクやフェイスシールドの間から母としっかり目線を合わせてくれる認知症医には、母は心を開き、最上級の賛辞を贈った。

かわいい孫娘の顔が見えない、わからない!

「おばあちゃん、私のことがわからなくなってきたみたい」と、母の歯科通院の同行を頼んだ娘が帰るなり言った。

 娘が赤ちゃんの頃から年中預け、一緒に成長を見守ってくれた母だが、高校、大学と進むにつれて会う機会は減り、コロナ禍の昨年にいたっては数えるほども会えていない。

 そしていま、私も娘も母のサ高住を訪ねるときは必ずマスク着用だ。毎日顔を合わせるヘルパーさんたちはもちろん、ちょっと外へ出れば街行く人全員がマスク姿。異様なこの光景に私たちは慣れてきたが、認知症の人には不安が増す一方かもしれない。

 娘が迎えに行き、普通に会話をしながら歯科クリニックまで行ったが、30分ほど治療して診察室から出て来ると、

「私、娘のNと来たはずなのにいないわ!」と、大混乱したという。孫と来たことを忘れたというより、待合室に座っている全員がマスクをしていて、顔がわからないことにパニックを起こしたのだろう。気づいた娘がすぐに駆け寄ったが、しばらく呆然としていたという。

 思いがけないところでも、コロナ禍が認知症の母の混乱に拍車をかけているのだ。

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン