スポーツ

子供たちのスポーツ大会中止は進学にも影響 親子間で不協和音も

新型コロナウイルスの影響で無観客で開催されている全国高校ラグビー大会(時事通信フォト)

新型コロナウイルスの影響で無観客で開催されている全国高校ラグビー大会(時事通信フォト)

 2020年には様々なイベントや催し、夏の甲子園大会やインターハイなどスポーツの全国大会がいくつも中止された。年末からようやく、様々な大会の催しが可能な雰囲気が強まっていたのだが、スポーツの裾野を支える子供たちが主役の大会では、一足早く感染再拡大への緊張感が強まり、それによって友情や連帯に亀裂が入りつつあった。ライターの森鷹久氏が、当事者である子供たちが置き去りにされているスポーツをめぐる混乱についてレポートする。

 * * *
 年末年始、テレビをつけるとサッカーにラグビーに駅伝とスポーツ中継がずらりと並んでいた。これだけ見ていると、ウイルスの感染対策さえしていれば「スポーツは可能だ」と思えてしまうが、アマチュアスポーツ、特に子供達のスポーツ環境、学校の部活動を取り巻く環境は、崩壊寸前だ。

「年末に行われることになっていた試合は全て中止。ですが、年明けの大会は開催が決まりました。子供達だけでなく、親も『最後の大会ができる』と喜んでいたんです」

 こう話すのは、千葉県北西部在住の会社員・依田雄介さん(仮名・40代)。

 千葉北西部といえば、有名強豪高校の部活動内で新型コロナウイルスの集団感染、いわゆる「クラスター」が発生。全国大会を辞退するなど、学生諸君にとっては残酷な対応がとられたが、その影響から、サッカークラブに所属する依田さんの小学6年生の息子も、予定されていた練習試合、大会は全て中止になった。

 もちろん、皆がそれなりに対策をして取り組むのではあるが、近隣高校の部活動で「クラスター」が出たという衝撃は大きく、地域の小中学生スポーツの練習、試合は軒並みストップ。このままでは年明けに予定されている小学校最後の大会もできないのではないかと肩を落としていたというから、開催の判断を親子で喜んでいた。しかしその一方で、この判断を「不適ではないか」とする人たちもいた。

「子供達は全員が喜んでいました。しかし、親の中には、今の状況で試合をやるのか、うちの子供は辞退する、という考えの方もいらっしゃいました。もちろん考えは人それぞれですし、尊重されるべきです。しかし、子供達にはそんな親心はわからない。せっかく練習したのに、最後の試合なのに来る人と来ない人がいる、ということで妙な空気が生まれ、一部の子供達は対立するようになってしまった。これでは試合どころではありません」(依田さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン